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カテゴリタイトル_運動部活動改革

令和の部活動改革「部活動が変わる、未来が広がる」

2026年度から新たに「改革実行期間」がスタートし、中学校部活動の地域展開などの取り組みが新たなフェーズ(局面)を迎えます。本ページでは、改革の背景・経緯を確認したうえで、文部科学省が定めた新たなガイドラインの内容や関連予算のポイントなどをスポーツ庁地域スポーツ課の大野雅史(おおのまさし)課長補佐に伺いました。

スポーツ庁 大野課長補佐大野雅史(おおのまさし) スポーツ庁地域スポーツ課課長補佐
京都府出身。2008年に文部科学省に入省。文化庁著作権課、大臣官房総務課法令審議室、幼児教育課などを経て、2021年4月から2年間、島根県教育委員会に出向し、教職員の採用・人事や働き方改革などを担当。その後、復興庁およびスポーツ庁政策課(スポーツ戦略官)を経て、2025年4月から現職。

 

部活動の地域展開などの背景と経緯

ー部活動の地域展開などの背景についてお聞かせください

スポーツ庁では、公立中学校などを主な対象として、部活動の「地域展開」(地域が主体となる「地域クラブ活動」への展開)および「地域連携」(部活動の枠組みのもとの部活動指導員の配置や合同部活動の実施など)(以下まとめて「地域展開など」)を推進しています。
近年の急激な少子化の進展に伴い学校の規模が縮小するなかで、従来のような学校単位でのチームスポーツなどの実施が困難になってきています。また、学校における働き方改革や専門性の観点から、学校の教師のみに頼る指導体制は維持できなくなっています。
このような状況下で、将来にわたって生徒がスポーツ活動に継続して親しむ機会を確保・充実するためには、地域の資源を最大限活用しながら、地域全体で活動を支える仕組みの構築が必要です。地域全体で支えることで、単に生徒のスポーツ活動の機会を維持するにとどまらず、生徒のニーズに応じた多種多様な体験の実現や良質な指導などを通じた活動の質向上、さらには、大人も含めた地域スポーツ全体の振興や地域社会の維持・活性化などにつながることも期待されます。

ー具体的な検討の経緯を教えてください

地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業事例集表紙

先ほど申し上げた考え方のもと、スポーツ庁では、2023年度から2025年度までの3年間を「改革推進期間」と位置づけ、休日の部活動を中心とした改革を進めてきました。スポーツ庁の実証事業に取り組む自治体も年々増加し、2025年度には670自治体に取り組んでいただき、さまざまな好事例が生まれるなど、着実に部活動改革の取り組みが広がってきています。
【参考:『令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業事例集』(2025年8月スポーツ庁)※スポーツ庁のサイトにリンクします】

また、2024年8月より「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」を開催し、2026年度以降の改革の方向性や課題の解決策などを有識者に議論いただき、2025年5月には「最終とりまとめ」をまとめていただきました。さらに、同年6月にはスポーツ基本法が改正され、部活動の地域展開などの根拠となる規定(第17条の2:中学校の生徒が継続的にスポーツに親しむ機会の確保)が創設されています。
その後、これらを受けた施策の具体化などについて検討・調整を進め、同年12月には、文部科学省として部活動改革に関する新たなガイドラインを策定しました。また、同年度補正予算および’26年度当初予算案において、スポーツ・文化芸術を合わせて計139億円を計上し、各地域体の取り組みを総合的かつ継続的に支援することとしています。

 

部活動改革に関する新たなガイドライン

ー部活動改革に関する新たなガイドラインの概要を教えてください

文部科学省では、2025年12月に「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン ※スポーツ庁のサイトにリンクします」を新たに策定しました。この新たなガイドラインは、2026年度からの「改革実行期間」における部活動改革の推進などに関して、国としての基本的な考え方や具体的な取り組み方針などを示すものであり、全6章+別冊資料で構成されます。

ー新たなガイドラインはどのような内容ですか

新たなガイドラインは、第1章から第6章まであり、以下の内容となっています。

【第1章】部活動改革の基本的な考え方・方向性
  • 急激な少子化が進むなかでも、将来にわたって生徒が継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保・充実するためには、部活動改革を進めることが不可欠
  • 学校単位で部活動として行われてきたスポーツ・文化芸術活動を、地域全体で関係者が連携して支え、生徒の豊かで幅広い活動機会を保障することが重要
  • 2026年度から2031年度までの6年間を「改革実行期間」と位置づけ、休日については、6年間の改革実行期間内に、原則、すべての学校部活動において地域展開の実現をめざす。平日についても各種課題を解決しつつ、さらなる改革を推進
【第2章】地域クラブ活動のあり方および認定制度
  • 地域クラブ活動においては、学校部活動の教育的意義を継承・発展させつつ、地域全体で支えることによる新たな価値を創出することが重要
    <新たな価値の例>
    ●生徒のニーズに応じた多種多様な体験(マルチスポーツ、スポーツと文化の融合など)
    ●学校などの垣根を越えた仲間とのつながり創出
    ●地域のさまざまな人や幅広い世代との豊かな交流
    ●適切な資質・能力を備えた指導者による良質な指導など
  • 地域クラブ活動について、民間のクラブチームなどとの区別や質の担保などの観点から、認定制度(国が定める要件などに沿って、市町村などが認定を行う仕組み)を新たに構築。認定を受けた活動(「認定地域クラブ活動」)は、公的な支援(財政支援、学校施設の優先利用など)や大会・コンクールへの円滑な参加などの対象となることを想定
    【地域クラブ活動に関する認定制度の認定要件】
    事項 主な内容
    ①活動の目的・理念 ・学校部活動が担ってきた教育的意義の継承・発展、生徒の豊かで幅広い活動機会の保障
    (選抜等を行わず、参加を希望する生徒を幅広く受け入れることを含む)
    ②活動時間・休養日 ・平日は1日2時間程度以内、休日は1日3時間程度以内
    ・週2日以上の休養日を設定(休日のみ活動する場合は、原則、土日どちらかを休養日に設定)
    ③参加費等 ・活動の維持・運営に必要な範囲で可能な限り低廉な参加費等を設定(国が示す目安を踏まえる)
    ④指導体制 ・暴力・暴言・ハラスメント・いじめ等の不適切行為の防止徹底(日本版DBSの活用を含む)
    ・市区町村等が定める研修を受講し、登録された指導者等による指導(※)
    (※)「認定地域クラブ活動指導者」登録制度を構築(研修メニュー例、登録要件・手続等、不適切行為への対応等について規定)(※)円滑な実施の観点から、一定期間の経過措置を設ける(原則として2026年度末まで)
    ⑤安全確保 ・生徒の健康状態や気温等を考慮した適切な活動、施設・設備等の点検、緊急時の連絡体制整備
    ・怪我等を補償する保険及び個人賠償責任保険への加入(参加者及び指導者等)
    ⑥運営体制 ・関係法令の遵守、規約等の作成・公表、公正かつ適切な会計処理、営利を主目的とせずに運営
    ⑦学校等との連携 ・活動方針やスケジュール、生徒の活動状況等に関する情報共有
【第3章】地域展開の円滑な推進にあたっての対応
  • 推進体制の整備として、自治体における体制整備や、国・都道府県・市区町村・地域クラブ活動の運営団体・実施主体の役割分担、生徒が所属する中学校などとの連携、民間企業・大学・関係団体などとの連携などについて記載
  • 地域展開を進めるにあたっての各種課題への対応について、以下の6項目に分けて具体的な取り組み内容などを記載。生徒のニーズ反映や地域クラブ活動への参画促進などの方策についても記載

    1. 運営団体・実施主体の整備など
    2. 指導者の確保・育成
    3. 活動場所の確保
    4. 活動場所への移動手段の確保
    5. 生徒の安全・安心の確保
    6. 障害のある生徒の活動機会の確保
【第4章】学校部活動のあり方
  • 部活動指導員の配置や部活動数の適正化、部活動開始・終了時刻の繰り上げなどの工夫を行い教師の負担が過度とならないよう十分留意するなど、適切な指導・運営体制を整備
  • 暴力・暴言・ハラスメント・いじめなどの不適切行為の根絶や、適切な活動時間・休養日などの設定、生徒のニーズを踏まえたスポーツ・文化芸術環境の整備
【第5章】大会・コンクールのあり方
  • 地域クラブ活動の大会参加をさらに促進するとともに、大会への引率や運営について、教師以外の関係者の参画をさらに促進するなど持続的で効率的な体制を整備
  • 生徒の安全面を考えた開催時期・場所の設定および運営上の工夫や、生徒のニーズに応じた多様な大会の開催
【第6章】関連する制度のあり方
  • 希望する教師などが兼職兼業の許可を得て地域クラブ活動の指導者となることを促進

【別冊資料】

  • 別冊資料①:地域クラブ活動に関する認定制度の詳細資料
    (「2.認定要件」の具体的な確認事項、「認定地域クラブ活動指導者」登録制度を含む)
  • 別冊資料②:部活動の地域展開等に関する参考資料

部活動の地域展開などに係る予算

ー今後の予算の見通しを教えてください

文部科学省では、2025年度補正予算において計82億円を、2026年度当初予算案において計57億円を計上しています。これらを合わせると139億円となり、前年度(2024年度補正予算+2025年度当初予算:66億円)の2倍を超える規模となります。文部科学省としては、これらの予算に基づき、新たな補助制度(「部活動の地域展開等推進事業」)を創設し、各地域における取り組みを総合的かつ継続的に支援していくこととしています。

【新たな補助制度のメニュー】
(1)部活動の地域展開・地域クラブ活動の推進
①休日の地域クラブ活動の活動費などの支援(指導者謝金、事務局人件費など)
【国1/3、都道府県1/3、市区町村1/3】
②経済的困窮世帯の生徒への支援(参加費・保険料)
【国1/2、市区町村1/2】
③推進体制の整備など(コーディネーター配置、人材バンク設置・運用、指導者研修、移動費など)
【国1/3、都道府県1/3、市区町村1/3】
(2)平日を含めた地域展開などの加速化のための重点課題への対応(実証事業)
【国10/10】
(3)中学校における部活指導員の配置支援
【国1/3、都道府県1/3、市区町村1/3】

文部科学省の今後の取り組み

ー最後に、文部科学省の今後の取り組み予定をお聞かせください

文部科学省においては、本稿でこれまで述べてきた改革の理念や方向性などについて、先頭に立って周知・広報を行うとともに、新たな補助制度による地域クラブ活動の推進などの支援、相談・サポート窓口の設置やアドバイザー派遣などによる地方公共団体へのきめ細かな伴走支援などにより、部活動の地域展開などの全国的な実施を推進していきます。

部活動の地域展開にあたっては、指導者の確保・育成をはじめ多岐にわたる課題解決を図る必要があり、そのためには地域のスポーツ関係者の協力が欠かせません。経験豊富なスポーツ関係者に協力いただくことで、行政側にはない新たな視点やノウハウなどが導入され、より充実した活動になることも期待されます。

部活動の地域展開などは、地域のさまざまな関係者が連携・協働し、子どもたちにとってよりよいスポーツ環境を未来へつなぐ取り組みです。スポーツ関係者の皆さま方におかれては、部活動が直面する危機を、子どもたち、ひいてはすべての人々にとっての地域スポーツ環境を進化させる好機に変えるため、ぜひとも積極的なご協力をお願いします。