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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2007/10/22

メルマガ(第25号)連携ニュース   収支・事業規模のシミュレーション(設立前向け) ~目標会員設定と赤字にしないお金のやりくり~ 

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第25号」と連携した内容となっております。
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  総合型地域スポーツクラブを設立して運営していく際、現実の問題としてよく耳にするのが、お金にまつわる話です。たとえば、「自立して運営していけない」あるいは「人を雇ってまでクラブ運営を行なうのは無理だ」といった不安の声が、クラブ設立に向けた地域から聞こえてきます。恐らくそれは、何か特別の経営知識や財務知識がないとできないと思われているからでしょう。しかし、それほど難しく考えたり、かまえなくてもクラブのお金のやりくりはできます。
  また、クラブ運営の財源となる様々なスポーツ事業は、スポーツを経験した人であれば「こういう事業が地域で受け入れられるんじゃないか」「この事業はきっと住民が喜ぶよ」と楽しく案を考えることができるのではないでしょうか。では早速、2006年11月の北信越東海ブロッククラブ育成推進協議会で行なったワークシートによってクラブのお金のやりくりをしてみましょう。
  
(1)STEP1  地域の人口と目標会員設定
  ワークシートをみて下さい(文末「関連Word:ワークシート」参照)。
  まず、左上のSTEP1から行ないましょう。あなたが住んでいる地域、あるいはこれからクラブを立ち上げようとしている地域の人口、世帯数、男女比、目標会員入会率、構成比を大まかにワークシートに入れて下さい。目標会員入会率がわからなければ、地域人口の1割に設定してください。会員構成比率は希望でも結構です。

(2)STEP2  支出の算出(事業費、管理費、人件費等)
  次にワークシートのSTEP2と、事業費事例シートをみて下さい(文末「関連Excel:事業費・管理費事例シート」参照)。
  事業費事例シートは、教室、イベント、研修会、広報用経費(パンフレット、チラシ、広報誌)といった代表的なものを例として載せています。また、教室、イベント、研修会は、どういった対象者にどの程度の規模で、どんな内容のことを行なうかを載せています。そして、諸謝金、借損料、消耗品などといった項目と、開催回数別の経費を想定しています。この事業費事例を使っても結構ですし、実際の事業経費やオリジナルの事業費がある場合はそれをワークシートSTEP2の事業支出(A)に入れて下さい。なお、この各事業を企画すること(どんな人を対象にどんな事業をどれだけ行なうか)がクラブ運営における腕の見せどころとなります。
  次に管理費事例シートをみて下さい(文末「関連Excel:事業費・管理費事例シート」参照)。
  施設管理費は事務所賃貸と無償貸与を想定しています。一般管理費は、規模別にAからCの3パターンを想定しています。人件費は4つのレベルを想定しています。この管理費シートを使っても結構ですし、実際の管理費、あるいはオリジナルの管理費がある場合はそれをワークシートSTEP2の施設管理費(B)、一般管理費(C)、保険料(D)、人件費(E)に入れて下さい。その後、一番下の行の支出計を算出してください。
  
(3)STEP3  収入の算出(会費収入、事業収入等)
  次にワークシートのSTEP3をみて下さい(文末「関連Word:ワークシート」参照)。
  いよいよ、収入を考えてみましょう。はじめに会費収入(a)は、最初のSTEP1で設定した会員入会率や会員構成比率を見比べながら、一般会員・子ども会員・高齢者会員など、対象となる会員区分と会費、会員数を設定してください。ここでの会員区分と会費と会員数の見込みもクラブを運営する方々の腕の見せどころです。「これだけの会費なら住民が入ってくれるんじゃないか」という想定をしてみて下さい。保険料は、会員数を子ども・大人・高齢者でそれぞれ分けて入れて下さい。
  次に事業収入(b)に進みましょう。ここでは先のSTEP2の事業支出(A)の事業で参加費(単価)が見込まれるものを入れます。ただし、ここでも単価と参加人数の設定は、クラブを運営する方々の腕の見せどころです。「これだけの参加費(単価)なら住民がたくさん来てくれるんじゃないか」「この程度の人数は参加してくれる」という想定をしてみて下さい。また、このシミュレーションでは、補助金をもらっていることを想定しています。仮に会費収入と事業収入の合計の25%としています。補助金が必要なら、補助金収入等(c)にも入れてみましょう(ただし、補助金や助成金は長くても数年など有期限が多いので、依存しないよう注意)。そして収入合計(a)+(b)+(c)を算出しましょう。

(4)想定する収入から積算した支出を引いてみる
  さて、いよいよ最後です。STEP3の収入合計からSTEP2の支出合計を引いてみましょう。黒字になりましたか?それとも赤字ですか?残念ながら赤字になった場合は、STEP3の会費収入や会員数の見込みが少なすぎる、あるいは事業収入の参加費(単価)や参加人数の見込みが低すぎるのではないでしょうか。または、STEP2のいずれかの経費を削減するとか、事業支出を低くする(事業規模を小さくする)ことが必要かもしれません。もう一度検討してみてください。
  ワークシート作成事例として、2006年11月の北信越東海ブロッククラブ育成推進協議会で実際に行なってもらったあるグループの事例を載せています(文末「関連PDF:ワークシートのシミュレーション事例」参照)。参考にしてください。
  以上、お金のやりくりをシミュレーションする方法を提案しました。このシートをつけて気づかれた方がいるかもしれませんが、ここでは、まずSTEP2の「かかる経費(事業支出)」を算出した上で、STEP3の会費設定や事業参加費を設定しています。このようなステップで進むのが総合型地域スポーツクラブの理念や現実の運営を考えた場合適切です。ただし、会員や参加者のニーズ、参加者の事業(サービスプログラム)への満足度も鑑みながら、会費設定や事業参加費を設定することももちろん必要です。
  冒頭に述べたように、お金のやりくりというととかく難しく考えがちですが、どうかシンプルに考えて楽しみながら収入源となる事業を考えてみてはいかがですか。
                                                        (西原康行  新潟医療福祉大学准教授、北信越地方企画班員)


  

関連Word ワークシート [ Word : 35KB ]

関連Excel 事業費・管理費事例シート [ EXCEL : 34KB ]

関連PDF ワークシートのシミュレーション事例 [ PDF : 14KB ]