アンチ・ドーピング教育・啓発に関する研究
スポーツの価値を育むためのアンチ・ドーピング教育が国際的に推進されており、世界アンチ・ドーピング規定(Code)を網羅した教育内容が求められていますが、トップ・アスリート以外は任意かつ恣意的なものになっており、ドーピングの副作用等の医学的知識の欠如や、体内に摂取するものに責任を持つアスリートの責務への理解が乏しい事が明らかになっています。
そこで本プロジェクトでは、日本の大学生アスリートや国スポ出場アスリート・国スポ帯同サポートスタッフなどを対象に、有効なアンチ・ドーピング教育の提供に向けた基礎的な情報の収集・分析を行っています。
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班長:内藤 久士(順天堂大学)
体育・スポーツにおける人権侵害防止に関する調査研究 〜多様な性の尊重および暴力・虐待・差別等の撲滅のために〜
近年、安心・安全なスポーツ環境構築のために、スポーツにおける暴力・虐待・差別等の人権侵害を防止し、スポーツが多様性を承認し、社会のモデルを提示する必要性が国内外で指摘されています。海外のスポーツ先進国においては、何らかの形で「スポーツと人権センター」に類する専門組織が設置され、現状調査にもとづく戦略の策定、モニタリング結果を踏まえた戦略の見直し、新たな課題の発掘が継続的に実施されている事例がみられます。
しかし、日本国内では、2020東京大会を前に世界的な人権NOGであるヒューマン・ライツ・ウォッチによる報告書「数えきれないほど叩かれて」が公表され、それへの対応が世界から注目されています。また、国内で発生したジェンダー平等の達成を阻害する出来事や、「LGBT理解増進法」の施行を機会として、多くのスポーツ関係組織がこのテーマに正面から取り組む機運が高まっています。スポーツにおける人権侵害を防止し、安心・安全なスポーツ環境を形成するための継続的な啓発は、わが国におけるスポーツ推進において欠かせないものです。
そこで本プロジェクトでは、多様な性が尊重され、暴力・虐待・差別等の人権侵害のない安心・安全なスポーツ環境の構築を目指し、各種調査にもとづく課題抽出と対策の分析を行った上で、スポーツ関係者に対する研修会を開催するとともに、啓発教材を開発して公開しています。
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班長:來田 享子(中京大学)
環境保護の視点からみるスポーツの持続可能性に関する調査研究
国際連合は、2030年までに持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される持続可能な開発目標 “Sustainable Development Goals(SDGs)” を策定しました。また、2015年にユネスコが改訂した「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」には、「持続可能性 "Sustainability" 」は体育・身体活動・スポーツにおける最重要原則と位置付けられています。なお、持続可能性の概念の前提・基礎には、「環境保護」のためのシステムの構築が必要とされています。
そこで本プロジェクトでは、気候変動や生物多様性の損失への対応を主とした環境保護の視点からスポーツの持続可能性の推進に資する基礎資料を提示しています。また、これらの成果を踏まえ、スポーツに携わる個人(指導者、選手、役職員、一般)や団体(NF、開催地組織委員会等)を対象とした研修会を開催するとともに、啓発ツールを制作して公開しています。
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班長:來田 享子(中京大学)
アクティブ・チャイルド・プログラム(JSPO-ACP)普及・啓発
子どもたちが“楽しみながら”“積極的に”からだを動かすための指導法として「アクティブ チャイルド プログラム(JSPO-ACP)」を開発しました。このプログラムでは、発育期における身体活動・運動の意義や多様な動きを身につけることの重要性などについて解説するとともに、具体的な運動遊びや身体活動の習慣化を促すためのアプローチについて紹介しています。
そして現在は、本プログラムを指導現場へ普及・啓発させるために、①「アクティブ チャイルド プログラム(JSPO-ACP)」の改訂(コンテンツの追加など)、②当協会既存事業を通した普及・啓発、③指導現場における実践とフィードバック情報の蓄積などに取り組んでいます。
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班長:内藤 久士(順天堂大学)
スポーツ活動中の熱中症事故予防に関する研究
日本スポーツ協会では、1991年に「スポーツ活動における熱中症事故予防研究班」を設置し、1994年には「熱中症予防の原則およびガイドライン」を発表するなど、20年近くにわたって熱中症事故を予防するための呼びかけを行ってきました。
本研究では、近年の夏季環境の変化や事故事例・傾向に対応するために、より効果的な熱中症事故防止活動を進めることを目的として、これまでに日本スポーツ協会が開発した教育・啓発教材を改訂および普及・啓発の方法について検討します。
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班長:川原 貴(大学スポーツ協会)
日本版フィジカルリテラシー評価尺度の開発・検証および普及啓発に関する研究
生涯にわたる健康づくりにおける身体活動・運動・スポーツの重要性がますます高まっており、子どもから高齢者に至るまで、それらを促進(あるいは阻害)する要因をより深く理解することが重要です。この点に関して、近年、国際的に身体活動の促進要因の 1 つとして「フィジカルリテラシー」という概念が着目されています。フィジカルリテラシーの定義そのものに未だ曖昧な点もありますが、生涯を通じて身体活動を維持するための動機づけ、自信、身体的資質、知識および理解に関わることがらで、日本では第3期スポーツ基本計画に子ども・若者の日常的な運動習慣の確立と体力の向上に関する記述の中で、「生涯にわたって運動やスポーツを継続し、心身共に健康で幸福な生活を営むことができる資質や能力」を「いわゆるフィジカルリテラシー」というように表現されています。
そこで、本研究では、子どもから高齢者に至るまで幅広い世代を対象とした日本版フィジカルリテラシーに関する評価尺度の開発およびその妥当性・信頼性等に関する検証を行うとともに、フィジカルリテラシーの普及・啓発に向けた実践的な取り組みの基礎となる情報収集を行うことを目的とします。
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班長:内藤 久士(順天堂大学)