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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2009/02/20

メルマガ(第40号)連携ニュース メルマガ12月号 <特集> 「競技力」でクラブの魅力アップ NPO法人たかはら那須スポーツクラブ

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第40号」と連携した内容となっております。
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■(2)NPO法人たかはら那須スポーツクラブ  ~プロチームと生涯スポーツの間をつなぐ

●クラブの成り立ち・特徴  ~サッカーのチームから総合型クラブへ移行

  もともとはサッカーで、25年もの歴史があるチームであった。総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)の存在は、県のスポーツ指導者協議会で知り、平成17年から2年間、育成指定クラブの委託事業を受けた。
「他の種目はやらなくてもいいのでは」というメンバーの声がある中で、総合型クラブ化を検討したのは、当時、チーム自体の転換期にあったことが大きい。サッカーの競技力は向上していたものの、育てた選手の次の世代が育たないという壁に当たっていた。

  総合型クラブ化するにあたって、平成18年に関東リーグ1部で3位になり日本サッカーリーグ(JFL)をめざすトップチームに加え、ジュニアユース、ジュニア、女性(フェミニーノ)、スクール部門などを充実させ、他の種目を加える形にした。他の種目の選択は、他団体との調整が大変なことを知って、地域であまり行われていない種目をあえて選んだ。種目の指導者を自ら探し、バドミントン、ボクササイズ、太極拳などの教室を、幅広い年齢や志向に応えられるように開催していった。


  クラブの名前の「たかはら」は、ホームグラウンドからみえる「高原山」、同じく地域を見守ってくれる存在「那須岳」という、地域の象徴的な山の名前からつけた。現在、総合型クラブには、賛助会員も含めて会員が150人おり、利用会員は口コミで集まっている。

●地域とのつながり・拡がり  ~夢を共有することで拡がる支援の輪

  JFL入りをめざすトップチームのサッカー選手は、ほとんどがサッカー以外の本業をもつ。学校で教員をしている選手がいて、試合の際に生徒がボールパーソン(ボールを拾う)として手伝いに来てくれる。ホームグラウンドでの試合には、地元のサッカーファンが駆けつける。3,500円のオリジナルTシャツを買ってくれる。
地元に密着したチームは、住民にとって愛着と一体感がもてる存在なのだ。

  県体育協会開催の「キッズサッカースクール」に選手が指導に行っている。県の教育委員会では、行政がもつテレビ番組枠でクラブのことを取り上げてもらうよう橋渡ししてくれるなど、行政や体協との関係は良好である。
地元の新聞「下野新聞」では、今年4月17日、「矢板の総合型スポーツクラブ1周年、地域貢献掲げ会員増加」の見出しで大きく記事が掲載された。
  
  JFL入りをめざす「ヴェルフェたかはら那須」には、地元のスポンサーが様々な支援の仕方でついている。
協賛企業は、関係者のネットワークから拡がることが多いが、現在、合計500~600万円の協賛金が集まっている。
協賛金の見返りは、企業名をユニフォームやHP・情報誌へ掲載、試合時の看板掲示などである。関東リーグ(2部)で今年第3位だったが、その終了報告・感謝イベントを開催し、選手と支援者・家族との交流も行っている。

  協賛は、ウェアやテーピングのテープ、自動販売機設置(売上の一部をクラブに入れてくれる)などの現物支給のサプライヤーも多い。最近、サプライヤーになった「NPO法人e-とちぎ」は、インターネットやブログのサポートをしてくれる。このようなスポンサーやサプライヤーの地元密着のトップチームへの期待は「チームが強くなる
こと」。夢が共有でき希望がもらえることが、支援する動機にある。

●競技力と生涯スポーツとのつながり  ~プロ退団選手の受け皿、ユニークな「チャリティーゴルフ大会」  

  トップチームは現在、31人の選手と20名(3名選手兼務)のスタッフがいる。平成20年の初め、栃木SCのオールプロ化に伴い、退団した選手の受け皿になった。県内で、プロチームと生涯スポーツの間をつなぐアマチュアチームの役割が、ヴェルフェたかはら那須にある。プロから離脱してもサッカーができる環境、また生涯スポーツからプロへの道筋があることは、サッカー全体の技量を押し上げる力になる。

  このことが新聞掲載された時に、新チーム名を公募した。地元で注目されていたこともあり、200以上の応募があった。「ヴェルフェたかはら那須」の「ヴェルフェ(Vertfee)」は、フランス語で「緑の:Vert」「妖精:Fee」を組み合わせた造語で、深い緑色がチームカラーだ。

  サッカースクールの子どもたちは、トップチームに憧れて、このスクールに入ってくることが多く、高いレベルで競技する選手を身近に感じながら練習をすれば、子ども達の励みになることは間違いない。サッカーの試合の前には、幼稚園のスクールなども実施している。総合型クラブの会員とトップチームの交流はあまりないが、会員は試合の結果などを気にしてくれたりする。

  ユニークなのは「チャリティーゴルフ大会」。那須という土地柄、ゴルフ場は多い。今年で8回目を迎える大会には、地元住民を中心に約150人が集まる。参加費から開催経費を引いた収支差が5~60万円あり、これがトップチームを支える資金にまわる。コンペ賞品は地元から提供される。農家の方からはお米1俵と10kg×3袋提供してもらった。この地域のお米は美味しいので賞品として喜ばれる。ゴルフという生涯スポーツを楽しむ場をつくると同時にトップチームの支援にもなるという一石二鳥の、目からウコロの企画である。

●今後の展開・課題  ~新規種目と会員を増やし、人手不足を解消していくこと

  サッカーの関係者と他の種目の担当者などで構成されたNPO法人の理事は、現在11名いる。雇用されているジュニアサッカースクールの指導者が1名いるが、運営面全般は理事がボランティアで手分けして行っている。事務局業務は、総合型クラブの理事長である大森さんが全面的に担当している。大森さんの本業は地方公務員である。有給休暇をクラブの活動にあてるなどできる限り対応しているが、人手不足は否めない。スポンサーへの御礼や新規スポンサーへのお願いは平日に伺う必要があるが、十分に回ることができない。現在、会員から事務スタッフとしてサポートしてくれる適任の人をみつけている最中だ。

  総合型クラブの会員同士の交流として、日帰りハイキングやバーベキューなど企画しているが、なかなか大勢集まることはない。忘年会などは種目ごとで行っているが、種目を超えた交流はこれからの課題だ。「指導者を確保して新たな種目を開設し、会員を増やしたい」と大森さんは語る。
  総合型クラブとして、夢や希望を共有でき地域で一体感をもてるトップチームがあるのは理想の形である。時間がかかっても少しずつタテとヨコの間をつないでいくことが、総合型クラブのミッションやビジョンの実現につながるだろう。

(協力:大森崇由  NPO法人たかはら那須スポーツクラブ理事長/ヴェルフェたかはら那須 統括フェミニーノ監督)

「山も臨めるクラブのホームグラウンド」
「売上の一部をクラブに入れてくれる自動販売機」
「ポスター“楽しみ支え合う地域のフィールド”」