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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2008/07/22

メルマガ(第34号)連携ニュース <特集> さまざまな理念と設立趣旨 ★さまざまな「理念」編★

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第34号」と連携した内容となっております。
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  総合型クラブづくりでは「理念が大事」と言われます。では「理念」とは何でしょうか? 
  辞書をひくと、哲学的な説明はのぞいて「事業・計画などの根底にある根本的な考え方」(広辞苑)とあります。「根本的な考え方って・・?」、わかりにくいですね。要は「私たちのクラブは、何のために存在するの?」、創設期であれば「なぜ、クラブをつくるの?」という問いに対しての何らかの答えです。組織としての目的、理想、価値観、大きな方向性といった方がわかりやすいかもしれません。表現の仕方に決まりはありません。会社であれば社是や訓示のような形で文章化されていたりします。

  では、クラブづくりに、なぜ理念が必要なのでしょうか? 簡単にいえば、理念は「旗印」で、組織のめざす方向を指し示します。活動内容と理念は連動するものです。関わる人々の行動や考え方にも影響を与え、指針にもなります。クラブの利害関係者(行政や住民、企業など)に対して、クラブの「存在意義」や「姿勢」を提示します。この「旗印」がなければ、他の団体との違いや特有の考え方がわからないので何も伝わりません。クラブに関わる人々もバラバラでまとまらない、ということになってしまいます。

  「理念というものは、大事なんだろうな~」と思っても、抽象的過ぎて、話し合いでうまくまとまらない・・。そんなときは、まず、他のクラブのものを参考してみましょう。クラブ育成アドバイザーから紹介のあったクラブの理念をパターン別にみてみますと、いろいろあります! これらを参考にして、自分たちのクラブではどうかなとアレンジしていいのです。大事なのは、その「理念」が自分たちの心をどれだけ熱くするか(熱くなる人が多いか)、です。見栄えやカッコ良さよりも、原点となる「想い」や「本音」が重要です。

【人・まちづくり系】
●桃山体育王国スポーツクラブ(和歌山県紀の川市)
  名前にインパクトがあるクラブです。既存団体をまとめてトップに立つのではなく、既存スポーツ・文化団体が連携を強め、地域を活性化できるパイプ役になろうと考えてつくられました。「誰でも」「いつでも」「世代を越えて」「好きなレベルで」「いろいろなスポーツを」という5本柱を最初から揃えるのは困難と判断し、自分たちが一番支えたいと思う「小・中学生のスポーツ活動、地域コミュニティ、いじめ・非行の防止」にポイントを絞ってスタートを切りました。その想いを、以下の4項目にうまくまとめています。

  <桃山体育王国スポーツクラブ規約第2条より>
(1)幼児や小学生の子どもに色々なスポーツ・文化を体験する場を提供し楽しく活動させることで、将来、
      自分の好きなスポーツ・文化活動を見つけて主体的に取り組むことができる子を育てる。
(2)すべての年代の人が、色々なスポーツ・文化を楽しく体験できる場を提供し、生涯にわたりスポーツ・
      文化を愛し、親しむ人が集う紀の川市桃山町にぴったりのクラブをつくる。
(3)新たなスポーツ・文化活動愛好者を育成することで、地域のスポーツ・文化活動人口の増加に努める。
(4)スポーツ・文化活動を通じて、地域住民の健康増進と地域コミュニティの構築を促進し、核家族化・
      高齢化・過疎化を見据え「いじめのない」「生きがい、活気のある」桃のふるさとを目指す。

●Do・スポーツ(鳥取県日野町)
  人口4千人の小さな町にできた総合型クラブは、町の教育委員会のHPを借りて広報活動を行っています。いきなり理念から入るのではなく、まず「楽しむ」といった「スポーツ」の語源や意義から語られています。その後に、クラブ自身の意義や目的が続いています。

  <日野町教育委員会HPより>
  皆さんはスポーツされてますか? 私達にとってスポーツとは、普段のスポーツ新聞にみられるような“競技スポーツ”のイメージが強く、身体や精神を鍛えることと思ってしまいがちです。しかし、スポーツ(Sport)の語源は、ラテン語のdeportare(もち去る、移る)から由来しており、気晴しや楽しむといった意味で、本来遊戯あるいはリラクゼーションとして考えられていました。勝ち負けや順位などに捉われず「楽しむ」ことが「スポーツする」ことです。スポーツ(運動)は本来の意味において我々の健康に極めて密接で大切なことなのです。やらされるのではなく自己の意識と欲求によって自由に行うところにスポーツの意義があります。

○Do・スポーツはスポーツを愛する人が集まり「スポーツを楽しもう!」という意味で名付けられた自主運営団体です。
○Do・スポーツは各種スポーツの振興や人と人が交流できる大会を催し、スポーツによるまちづくりを行います。
○Do・スポーツは体や精神を鍛えたり、試合のための練習ではなく、さまざまな種目をそれぞれのレベルで楽しめる空間を提供したいと考えています。
○Do・スポーツは体力・健康づくりを重点に置き、元気なまちづくりを目指します。
○Do・スポーツは会員の皆さんのご要望にお応えし、さまざまな種目を取り入れていきます。

【先端キーワード系】
●NPO法人FCゴール(神奈川県横浜市)
  政令指定都市にある都市型の総合型地域スポーツクラブ「NPO法人FCゴール」。ミッション(*)は「スポーツコミュニケーションを通じた豊かな地域社会の交流と発展に寄与すること」。とくに、子どもたちの遊びに必要な3つの間(空間、時間、仲間)をクラブで実現することを掲げています。
  また、「4つのコミットメント」として、下記があげられています。「コミットメント」は、「約束」「誓約」の意味ですが、クラブを地域住民と一緒に作り上げていくという熱意や責任感が表現され、信頼がぐっと増す感じです。
  歯切れよい言葉でコンパクトにまとめられたパンフレットは、デザインもよく訴えかけてくるものがあります。必見!(HP「クラブ概要」にあります。文末からどうぞ)

  <NPO法人FCゴールのパンフレット「☆4つのコミットメント」より>
    ◎スポーツを楽しみます
    ◎仲間を大切にします
    ◎文化・歴史を学びます
    ◎子どもと大人が共に成長し続けます

(*)「ミッション」は、日本語で「使命」と訳され、理念に近い意味です。ちなみに「ビジョン」は、
    理念に基づいた「望ましい未来像」です。「いつまでに、どうなっていたい」という具体的な姿を表します。
    ある時点で実現すればビジョンは変化していきますが、理念やミッションにあたる根本的な部分は基本的に
    不変です。

●マイ・スポーツひがしね(山形県東根市)
  山形県で初めての「託児サービス」がある画期的なクラブです。SCステーションで紹介しています(文末リンク参照)。パンフレットには、『「マイ・スポーツひがしね」は、“人と人がふれあい、心と心が通じ合う”ようなクラブの実現を目指しています。文化活動も視野に入れ、「共に楽しみ」「共に学ぶ」ことを通じて、地域の人々の結びつきを深めていこうとする環境づくりを実現する』と書かれています。

  またHPには、『会員が参加しやすいように「4つの扉」を用意』とあります。4つの扉とは、以下のようなもので、住民の目線で表現されています(HP「クラブ紹介」にあります。文末からどうぞ)。「スロースポーツ」「スローライフ」は、時流のキーワード。山形県のイメージにもぴったりです。クラブの事業内容やプログラムも、この「4つの扉」に沿って構成されています。

  <マイ・スポーツひがしねHP「クラブ紹介」より>
  1.あなたの得意なスポーツ、生涯にわたって関われるスポーツを一緒に探す  =  マイスポーツ
  2.自分のペースにあわせのんびりと生涯にわたって続けられる運動を探している方は  =  スロースポーツ
  3.毎日が元気で健やかな生活を過ごしたい方、仲間を探している方  =  スローライフ
  4.これから、スポーツを始めようと思っている方、今までスポーツを体験したことがないけど、チャレンジ
      してみたい方  =  マイチャレンジ

【方言活用系】
●いきいき倶楽部(宮崎県都城市)
  名前からして中高齢者の多いクラブですが、明るく元気にがんばっています。平成19年2月の設立総会には、都城市長も来られて祝辞をいただきました。
  そして自分たちのクラブがどんなクラブで何をめざしているかを、地元の方言で表現しています。
  「いっでん だいでん やっど」(注:いつでも だれでも しましょう)など、方言の使用がユニークです。
地元の高齢者も、これなら「総合型地域スポーツクラブ」を理解でき、興味をもてることでしょう!
  発起人一同による設立時の想いの丈は、すべて方言で書かれており、理念がとてもよく伝わってきます。必見!(資料は文末からどうぞ;関連PDFファイル)

【子どもや高齢者にやさしい系】
●赤松スポーツクラブ・シャチ(佐賀県佐賀市)
  平成20年3月に設立されたばかりのクラブです。人口8千人の地域で、体協が母体です。クラブの理念は、『子供からお年寄りまでスポーツを通して、コミュニケーションの和を広め健康で明るい地域づくりを提供します』という普遍的なものになっています。
  ここでのポイントは、クラブの名前の「シャチ」の文字を使って、クラブの理念を標語風に表現した点です。

  <赤松スポーツクラブ・シャチのパンフレット表紙より>
  「シ・・・幸せは、ヤ・・・やる気と、チ・・・チョットの勇気から」

  この表現で「現在スポーツをしていない人にも、気軽にスポーツに親しんでもらえる環境を整える」「より多くの住民に、日常の暮らしの中にスポーツを取り入れた明るくて健康的な生活を送っていただきたい」というクラブのめざす方向が、クラブ名の文字とかけ合わせたことで、抽象的になりがちなクラブの理念を、子供から高齢者までわかりやすく伝えています。

●あわせスポーツクラブ(沖縄県沖縄市)
  あわせスポーツクラブは、設立前の平成18、19年度の2年間、さまざまな活動に取り組んできました。その過程で、どんなクラブにしていくかの検討も同時に行ってきました。「いろんなスポーツ」「みんなでスポーツ」「ず~っとスポーツ」をモットーに、地域で明るく、気軽にスポーツを楽しむことができることを目指しています。
  そして「クラブの願い」として、以下の3点に絞って表現しています。実に優しさあふれる、誰もが納得できるメッセージです。地域の問題だけでなく個人が求める幸せのツボを見事にとらえています。こんなクラブだったら、子どもも高齢者も安心して入会できることでしょう!

  <あわせスポーツクラブ設立趣意書より>
  「あわせスポーツクラブ」は、活動をとおして「子どもたちにはスポーツの夢を」「大人・お年寄りには健康を」
  「地域には助け合いの輪」をプレゼントしたいと願っています。


  今回紹介のクラブ以外にも、素晴らしい・わかりやすい理念やキャッチコピーなどを掲げているクラブもたくさんあると思います。特集ではその一部を紹介させていただきました。


★協力(クラブ育成アドバイザー);和歌山県・南由佳、鳥取県・中村千晶、神奈川県・遠藤晃弘、
        山形県・畠山重行・五十嵐義昌、宮崎県・中村義奉、佐賀県・溝口次男、沖縄県・仲里健・慶田花英太
        (掲載順、敬称略)

  

関連PDF いきいき倶楽部(方言で書かれた発起人一同のメッセージ) [ PDF : 60KB ]