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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2008/02/20

メルマガ(第29号)連携ニュース 長期継続クラブにみるマネジメントの工夫 

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長期継続クラブにみるマネジメントの工夫
      ~経営資源としての「文化」と「マネジメント」の関係、ピュアスポーツクラブの場合(その1)~

◆はじめに
  ピュアスポーツクラブ(以下「ピュアSC」)のマネジメントの工夫についての寄稿をということですが、本稿では、やや抽象論になりますが、マネジメントの根幹に関わることについて述べていきたいと思います。マネジメントといっても中身は多様で、マーケティングから、事業創出、資源調達・配分、さらにはリスクマネジメントまで様々ですが、「ピュアSC」として、基本と考えていることについてお伝えします。次稿では、それを受けて、本クラブのマネジメントに重要な位置を占める「パートナーシップ」について取り上げ、その実際についてフォーカスしたいと思います。
  「パートナーシップ」についての論をすすめるにあたり、「文化」概念についての共通理解が必要であることから、「ピュアSC」の固有の「文化」を例に、本稿ではそれについても触れることにしました。

◆マネジメント・経営資源・文化の関係
  「マネジメントの理論を最初に適用したのは、企業ではなく、政府機関や非営利組織だった。」(ドラッカー「明日を支配するもの」ダイヤモンド社、1999年)とはいえ、地域スポーツクラブにおいては、「マネジメントするという発想」ですら一般化されているとはいえません。
  「ピュアSC」においても「マネジメントスキル」は決して高いものとはいえませんが、これまでの8年間の経営・運営・指導の現場からは、非常に多くの複合的なナレッジ(知識・情報、マネジメントに関するものも含めて)が集積されてきています。「マネジメントスキル」は、スポーツ経営学などから基本を学びつつ、現場から生み出されるナレッジを摘み取り、高めていくしかないと思われます。これは、言い換えるとアート(手法)をサイエンス(理論)化するということにほかなりません。
  さて、マネジメントには、経営資源についての知識がきわめて重要です。経営資源として「ヒト」「モノ」「カネ」とよくいわれますが、最近では、それに「情報」「文化」を加える考え方があります。マネジメントとは、これらの経営資源を、獲得・運用して維持・拡大・発展させていく一連の流れであり、クラブの成長はそこから生まれるといえるでしょう。

◆8年間の歴史とその文化
  「ピュアSC」は、2000(平成12)年6月に創設、それと同時に法人申請を行ったため、同年11月に認証を受けNPO(特定非営利活動)法人となりました。「ピュアSC」は、既存の団体を総合化した(いわばプロトタイプの)総合型地域スポーツクラブとは異なり、ゼロからのスタートでしたが、「揺るぎない理念と意志」により、以来ここまで8年の歴史を重ね、会員は約500名、巣立った会員も300名を超えようとしています。「ピュアSC」の「文化」も明確に育まれてきています。

◆文化理解の上でのマネジメント
  一般論として、「文化」は、精神文化(わけ)・社会文化(行動様式)・物質文化(もの)が一体となっていることから、「文化複合」と表現されます。「ピュアSC」の「文化」をこれに当てはめて説明すると、「揺るぎない理念と意志」は精神文化、「マネジメント」は社会文化、また、「クラブハウス」のようなものは物質文化であるといえます。このように文化(複合)概念から「文化」を整理すると、理念・意思はすべての根幹にあることから、マネジメントに限らず事業全体にわたりそれが一体化されているべきものと理解できます。
  「ピュアSC」の「揺るぎない理念と意志」とは、スポーツは(個人にとっても社会にとっても)意味ある重要な活動であるという認識に基づいて、NPO法人として、その支援・振興(スポーツプロモーション)に携わろうというものです。「ピュアSC」のこれまでの成長はこの「揺るぎない理念と意志」に基づいているといえるでしょう。NPO法人であること、あり続けようとすること事体が誇りであり、(困難な)マネジメントへの勇気づけなのです。

◆本稿のまとめ
1)「マネジメント」の多様なコンテンツを明らかにしておくこと。
2)「マネジメントスキル」は、スポーツ経営学などの基本を学び、現場からのナレッジをサイエンス(理論)
化することで、高まっていくものである。  
3)文化(複合)概念からは、クラブの理念・意思はすべての根幹であり、マネジメントに限らず事業全体に
一体化されているべきである。
4)スポーツへの理念(哲学)が明確に示され、あわせて、NPO法人であり続けることは「揺るぎない理念
と意志」そのものであり、(困難な)マネジメントへの勇気づけとなる。

(松井恒二 静岡大学教育学部生涯学習課程・生涯スポーツ専攻教授、NPO法人ピュアスポーツクラブ理事長)