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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2007/05/21

メルマガ(第20号)連携ニュース 【特別寄稿】夢はかなえる! 地域スポーツクラブ自前施設の獲得 ~NPO法人北海道バーバリアンズ~

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第20号」と連携した内容となっております。
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  北海道札幌市を拠点とするラグビークラブ「NPO法人北海道バーバリアンズラグビーフットボールクラブ」(以下バーバリアンズ)が今年2月、自前の施設(ホームグラウンド&クラブハウス)を獲得した。
  バーバリアンズは1975年発足。当初は、数人の体を動かしたいという有志が、「じゃあラグビーをやってみよう!」という程度で始まったクラブである。現在では、小学生から59歳まで207人のバーバファミリーとなり、「ゆりかごから墓場まで楽しむラグビークラブ」をめざして精力的に活動している。
  バーバリアンズは、日本のスポーツ団体としては始めて、「NPO法人格」を取得した団体であり、国内でも先進的な活動を行ってきた。今回、取得した施設は、ラグビー場、野球場、パークゴルフ場、宿泊可能なクラブハウスを兼ね備えた総合スポーツ施設である。
  もちろん、バーバリアンズも全国の総合型地域スポーツクラブに漏れず、利用施設の確保には苦労してきた。市内の大学のグラウンドや企業の施設を転々としながら活動を行っていた。ただ、クラブ設立当初より「グラウンド、クラブハウスをもったニュージーランド型クラブの実現」(田尻氏)を目標に掲げ、マイグラウンド、マイクラブハウスの確保を模索していた。今回、獲得した施設は、旧NTT札幌総合運動場(札幌市南区定山渓)で、NTT東日本の好意で、6000万円という破格の金額で取得に漕ぎ着けた。今後、地域スポーツクラブが、借用、購入を検討する場合、このように企業が持つ福利厚生施設に着目するという点でも、アイディアを得ることができる。
  
  では、バーバリアンズはこの6000万円という莫大な資金をどのように調達したのか。田尻代表はこう説明する。「自分が理事を務めている医療法人グループから思い切って借りることにしました。理事長に我々のビジョンを説明して理解してもらい、賛同を得たという形ですね。」
  もちろんビジョンだけで楽々お金を借りられたわけではない。返済計画を充分に検討しての借入である。「6000万円の返済予定年数は5年に定めました。返済方法としては、クラブ会員から年間2万4千円の会費とは別に、5年間で1人につき1口20万円ほどの施設費の寄付を募ります。会員の多くはバーバリアンズを中心に生活が回っています。ある種、宗教ですね。ススキノでの年間の飲み代と考えれば安いもんですよ(笑)。また、クレジット機能付き会員カード利用手数料の数十パーセントをクラブへ寄付するという仕組みを構築しました。そして、スポンサーの獲得も実行に移した結果、現在では7社の企業と個人出資者から1000万円を頂戴し、今後の予定ではトータル2500万円の寄付を見込んでいます。スポンサーや企業からの寄付はニュージーランドや欧米では当たり前ですからね。」

  また、自前のグラウンドを利用した事業展開として、近くにある温泉街と連携したスポーツフェスティバルの開催や、本州に拠点を持つラグビーチームの合宿の場としての利用、ラグビーに限らずパークゴルフ場の開放などさまざまな事業展開を図っていく。
  今後の課題としては、ランニングコストの確保があるが、施設維持については、できるだけクラブ員総出でグラウンド整備を行ったり、クラブ関係者に業者がいるのでほぼ無料で修理してもらったりなど、できるだけコストがかからないように工夫する。また、税金(取得税、固定資産税)については、現在、道、市と減免交渉を行っている。
  地域に根ざしたラグビークラブを半永久的に残してゆく、マイグラウンド&マイクラブハウスを持つという真っ直ぐで強い思い。そして、人脈を生かした大胆な資金調達と、緻密に考えられたビジネスプラン、また、会員のクラブに対する想い。設立30年以上を誇る同クラブが仕掛けたブレークスルーは、多くの地域スポーツクラブにとって新しい提案となった。
                      (林  恒宏  札幌国際大学現代社会学部ビジネス実務学科スポーツビジネスコース講師)
                                                                              【メールアドレス:t-hayashi@ed.siu.ac.jp】