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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2007/02/20

メルマガ(第17号)連携ニュース「世界のスポーツ&クラブライフ」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第17号」と連携した内容となっております。
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世界のスポーツ&クラブライフ  (デンマーク編)  ~語り合いのあるクラブライフ~

  デンマークにはデンマーク・スポーツ&体操連盟(DGI: 5000の地域クラブに140万人加盟)、デンマーク・スポーツ協会(DIF: オリンピック委員会と連動。58の組織に160万人)、デンマーク企業スポーツ協会(DFIF: 34万人)、そしてチーム・デンマーク(エリート養成のための半官半民の組織。地域にトレーニングセンターを展開)という複数のスポーツ組織があるため、その加盟総数は人口の50%以上に及びます。
確かに、人々は11月から3月までの冬の間、おおよそ午後4時から翌朝の8時過ぎまで太陽が沈んだ中で過ごさなければならず、一方、夏になれば午後9時を回っても明るいという「自然条件」ゆえに、スポーツクラブが身近に感じられるのでしょう。
  しかし、より重要なことは、人々が身の回りのことをお互いに静かに語り合う、すなわち対話することの大切さを自覚していることだと思います。デンマーク語には温かさと優しさ、心地よさを表す「ヒューゲhygge」があります。お互いを尊重しあい、リラックスした中で語り合うことをこう表現するのです。

  今回取り上げるのは、フォルケホイスコーレ(民衆学校)の存在です。民衆による民衆のための学校として、デンマークに約100校あり、17歳半以上であれば、誰でも学ぶことができます。試験はなく、生徒も先生も一緒の敷地内で暮らし、自分たちでカリキュラムを考えながら、生きることを学んでいきます。
  フリースコーレ(小中学校に相当)-エフタースコーレ-フォルケホイスコーレという教育システムは、公立の小中学校-ギムナジウム・職業訓練学校-大学の流れとはオルタナティヴな関係にあります。日本でフリースクールというと、登校拒否児や何らかの問題を抱えた子どもたちが通う所といったイメージを抱くかも知れません。デンマークでは、国家の財政的な支援もあり、人々はこれら二つの流れを行き来しながら、育っていきます。
  約150年前に創始されたフォルケホイスコーレの特徴は、歌と体操、そして対話です。寒い冬に集まり、歌を歌い、体操をしてからだを暖め、自分たちの生活、そして人生について対話を重ねるわけです。
  もちろんこのフォルケホイスコーレの施設を使って、地域のスポーツクラブライフが展開されています。コペンハーゲンから列車で1時間、ゲアリュウのイドレット・ホイスコーレ(スポーツ民衆学校)にも、あらゆる世代がバドミントンや卓球などの運動をしにやって来ます。でも、テレビを見て、ワインを飲んで、ビリヤードをして、ゆっくりとおしゃべりする。この時間と空間こそが、クラブライフの根幹なのです。

  人々が民主的に語り合い、自分たちの生活を考えること。この延長に風車の協同組合があります。風車を立て、そこで起きる電気を電力会社に売ることで、環境に配慮しようとする運動は、昨今ではデンマークに限らず見られるようになりました。デンマークには原子力発電所がありませんが、以前、政府が建設を計画した際には、こうした協同組合が反対運動を展開しました。
  自分たちが住む生活空間を見渡し、対話を重ねながら、教育、健康、運動、さらに環境問題を考え、実践していくこと。こうした人々の営みこそがクラブライフを充実させる一つの要素であると思います。
(清水  諭  筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授)

ビボー体操ホイスコーレの体育館―火を中心にして語り合う
アウトドアとカヤックのサマーコースにて
風車の協同組合の運営に参加し、環境問題を考える