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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2007/02/20

メルマガ(第17号)連携ニュース「総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その13)」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第17号」と連携した内容となっております。
  メールマガジン配信希望の方は、下記関連リンク「メルマガ登録ページ」より登録いただけます。
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Q;クラブとして事故や怪我の責任はどこまで負うのでしょうか?
A;スポーツ指導中に事故や怪我が起こった場合、クラブもその責任を負わなければなりません。スポーツ器具・用品等の欠陥が原因で事故や怪我が起こった場合は、製造物責任法(PL法)により製造元に責任を追及することができます。クラブは正しい知識をもち、被害者に対応しなければなりません。
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  スポーツ中の事故や怪我がその指導者に責任があると判断された場合、その指導者を雇っていたクラブにも責任がおよぶとされています。民法715条使用者責任は「被用者(指導者)が起こした不法行為の責任は使用者(クラブ)にもおよぶ」とされています。クラブは、指導者等を使用することによって利益を得ているのですから、その損失も負担すべきであるという報償責任の原理からきています。ここでいう使用関係とは、使用者が実質的に他人を指揮監督して仕事をさせる関係をいい、一時使用、非営利的使用、無償使用であってもよいとされています。なお、クラブがこの責任により賠償した場合には、指導者に対してその損害を請求することができます。しかし、これが指導者にとって酷な結果となる場合があるので、学説、判例上は、信義側等によりこの請求を制限する傾向にあります。そうなると事実上、無過失責任(クラブは責任がなくても責任を追及される)となるといわれております。

  次にスポーツ事故が起こった場合、クラブ以外に責任を追及される可能性を持つものがあります。それは器具等を作ったもの(メーカー)です。製品の欠陥により生命、身体、財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者はメーカーなどに対して損害賠償を請求することができます。これが製造物責任法(PL法)です。
  製品の調子や性能が悪いといった品質上の不具合は、法律上の欠陥にあたりません。また、安全性にかかわらない単なる品質上の不具合や欠陥による被害が、その製造物自体の損害にとどまった場合も、この法律の対象にはなりません。この法律による損害賠償の請求権が認められるには、製造物の欠陥により人の生命、身体に被害をもたらした場合や、欠陥のある製造物以外の財産に損害が発生したとき(拡大被害)です。
  その証明方法は、被害者が(1)製造物に欠陥が存在していたこと、(2)損害が発生したこと、(3)損害が製造物の欠陥により生じたことの3つの事実証明を明らかにすることが原則になります。これらを比較考慮し、判断されることになります。

  これらの知識を踏まえて、クラブ・指導者として、スポーツ事故が起こった場合、まず、どのような責任が誰にあるのかを的確に判断し対応しなければなりません。クラブとして被害者に対して誠意ある賠償をするためにも、きちんとした知識で、「自分たちはどこまでの責任があり賠償しなければならないのか」「この責任は自分たちではなく別のものにあり、正しい対応を求める」という的確な判断で対応しなければ被害者も救われません。  スポーツ事故での訴訟の多くは、指導者・クラブの対応の悪さです。その部分が許せなくて訴訟に発展するケースも多いです。あの指導者が教えてくれているから、あのクラブでの指導だから、今回の事故はうちの子が悪いのです、といわれるくらい日ごろからきちんとした対応を心がけることが大切です。この信頼は1日や2日では構築されません。毎日のきちんとした対応が積み重なって信頼に結びつくのです。正しい知識・正しい対応がトラブルを防ぐ一番の方法です。
(行政書士  谷塚  哲)