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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2006/11/20

メルマガ(第14号)連携ニュース「総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その11)」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第14号」と連携した内容となっております。
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総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その11)  暴力とセクハラ
Q;スポーツ指導における体罰とセクシャルハラスメントの留意点について教えてください。
A;スポーツ指導においても未だなくならないのが指導側の体罰です。また、最近ではスポーツ指導におけるセクシャルハラスメントの事件も多くなっています。体罰とセクシャルハラスメントは、縦社会の構造にはびこる立派な犯罪です。スポーツの現場でも他人事ではありません。上下関係が生み出す問題として、当然、対処していかなければなりません。クラブとして正しい知識を持って指導にあたることができるよう注意が必要です。
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  民法第822条では、「親権(保護者)を行なうものはその子供に必要な範囲で懲戒することができる」とあります。スポーツ指導においても、保護者の同意がある限り、必要な範囲でこの保護者の懲戒権と同等の権利を行使できるとされています。ですが一切の「体罰」は禁止されています。「叱る」=「体罰」ではありません。体罰はその要素として個人的な感情を含むものです。これはもはや指導や教育というものではなく、ただの暴力です。ですから体罰はどんな理由があろうとも許されない行為なのです。
  今まで、体罰は「愛のムチ」や「言葉で言うよりもわかり易い」などといって、一見、指導として行なわれていた傾向があり、特にスポーツの現場ではそういった行為が多く見受けられました。当然、指導か体罰かの判断が難しいこともあります。しかし、クラブの指導として体罰(相手を叩く、蹴る、言葉の暴力など)は絶対にしてはいけません。傷害罪、暴行罪としてその責任が問われてしまうことになります。子どもたちを暴力において指揮・監督するという考え方は全く間違った考え方です。

  次に、セクシャルハラスメントについても注意が必要です。地位を利用した「対価型セクシャルハラスメント」、現場環境を阻害する「環境型セクシャルハラスメント」と大きく分けて2つのセクシャルハラスメントが存在します。
  例えば、性的な行為を断ったために、待遇が悪くなった等が「対価型セクシャルハラスメント」、体型や男女差別的な言動や行動が現場で気にせずに行なわれている等が「環境型セクシャルハラスメント」といわれています。セクシャルハラスメントは、法律上も強制わいせつ罪もしくは強姦罪などといった犯罪としてその責任を問われることになります。特にスポーツの現場では、監督と選手、協会幹部と選手、選手同士といった上下関係が多く存在します。クラブとしては、しっかりとした知識をもって指導にあたって下さい。また、「このくらいは平気だろう」という勝手な思い込みは危険です。セクシャルハラスメントの「基準」は加害者ではなく、「被害者がその行為をどう感じるか」です。誤解されない指導や対応が要求されます。

  体罰もセクシャルハラスメントも正当な指導との境目の判断が非常に難しいです。指導側は正当な指導だと思ってやっていることが、体罰やセクシャルハラスメントととらえられてしまうこともあります。ですから、このギャップを埋めるためには、日ごろのクラブや指導者の態度が問われることになります。誤解のないような指導方法やその対応をしていれば、ちょっとした誤解が生じてしまっても相手に与える印象は違ってくるはずです。昨今、指導側の体罰やセクシャルハラスメントによる少年少女の自殺も報告されております。何ごとも相手の信頼を獲得するために、日々、正しい知識と態度で指導することを心がけてください。
  また、クラブの規約や指導者規程等に、体罰やセクシャルハラスメントに関する倫理規程・ガイドラインを記載するのも、抑止効果につながります(下記HP参考)。
参考HP;「財団法人日本体育協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン」
https://www.japan-sports.or.jp/about/plan.html#02
(行政書士  谷塚  哲)