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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2006/10/20

メルマガ(第13号)「総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その10) 指導者の責任」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第13号」と連携した内容となっております。
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総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その10)  指導者の責任
Q;指導者が負う事故や怪我の責任について教えてください。
A;クラブの活動において、一番気をつけなければいけないことは参加者の事故や怪我です。スポーツの指導中に事故や怪我が起こらないように、指導者には最善の注意が必要とされます。
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  スポーツの指導をしている間に事故や怪我が起こった場合、一番その責任を追及されやすいのが、その場にいる指導者となります。指導者は常に、事故や怪我が起こらないように注意する義務があります。これを指導者の「安全配慮義務」といいます。この「安全配慮義務」は、「スポーツに参加する人々が事故や怪我なく、その指導を受けられるよう、最善の注意を払いなさい」ということをいっています。万一、事故や怪我が起こってしまった場合、指導者がこの「安全配慮義務」を果たしていたかどうかが問われることになります。もし、この「安全配慮義務」を果たしていないと判断された場合、指導者はその責任を問われることになります。
  
  また、指導者の「安全配慮義務」は、指導対象年齢が低ければ低いほど、「安全配慮義務」の度合いは、より多くを要求されます。ですから低年齢の子供へのスポーツ指導には、より一層、注意が必要となります。
  一方、事故や怪我の責任が指導者にも課されるとなると、スポーツ指導に消極的になりがちです。これではスポーツの本意が失われてしまいます。ですが実際に今までの判例を見てみると、すべての事故や怪我が指導者の責任になっているとは限りません。指導者に「安全配慮義務」違反がなかったと判断されれば、指導者には責任はないとされます。ポイントは、指導者が「安全配慮義務」をきちんと果たせていたかどうかです。

  それでは「安全配慮義務」をきちんと果たせていたとは、どういうことでしょうか。最終的に「安全配慮義務」が果たせたかどうかの判断は、裁判の中ですることになるので、特に明確な基準やきまりとなるものは残念ながらありません。その事故や怪我のすべての事情を考慮して判断します。ですが過去の同じようなスポーツ事故に関する判例を再度、読み返すことで、安全配慮義務の判断基準はおのずと理解できるでしょう。例えば、使用する器具や用具、場所などは「通常有すべき安全性」を保っていたかどうかという点です。事故や怪我が起こりうる要素があるにもかかわらず、指導者がそれに気付かない、対応しないということが、「安全配慮義務」違反の判断基準になるようです。
    ・使用する器具や用具は壊れていなかったでしょうか?
    ・使用する器具や用具に、危険な使用方法が予見されなかったでしょうか?
    ・グラウンドや床に穴はなかったでしょうか?
    ・グラウンドに石は転がっていなかったでしょうか?        など

また、指導計画や練習方法などにも無理がなかったでしょうか。次のような要因にも細かい配慮が必要です。
    ・年齢、性別、体調等をすべて考慮して、実際の指導を行なったでしょうか?
    ・注意事項を事前に説明したでしょうか?
    ・天候などを考慮に入れて指導できていたでしょうか?        など

  そして、事故や怪我が起こってしまった時の対処方法はきちんとできていたでしょうか。事後の対処方法にも指導者には安全配慮義務が要求されます。
    ・事故や怪我のケア(治療やその判断等)は適切だったでしょうか?
    ・医者や保護者への連絡はしたでしょうか?        など

  このようなことでスポーツ指導に消極的にならないためにも、指導者は正しい知識と行動が求められます。これらのことを指導中、絶えず意識し、事故や怪我が起こらないように今後の指導に励んでください。
(行政書士  谷塚  哲)