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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2006/05/22

メルマガ(第08号)連携ニュース「総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その6)」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第08号」と連携した内容となっております。
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【連載】総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント  その6(指導者の安全配慮義務)

Q;屋外スポーツ活動での指導者の安全配慮義務とは?
落雷に関しての指導者の責任について、注意深い判断の一例をあげます。
「高等学校の生徒が課外のクラブ活動としてのサッカーの試合中に落雷により負傷した事故について、引率者兼監督の教諭に落雷事故発生の危険が迫っていることを予見すべき注意義務の違反がある」との判断が平成18年3月に最高裁判所でありました。
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  事件の内容は、部活動でのサッカーの試合中、不幸にも選手の一人(以下「被害者」という)に落雷があり負傷してしまいました。その被害者及び両親(以下「原告」という)は「指導者及び大会主催者に対し、落雷を予見して回避すべき安全配慮義務を怠った過失がある」などとして、債務不履行または不法行為に基づき損害賠償を請求しました。
  第一審、第二審とも、原告の請求を棄却し指導者には責任はないとしましたが、最高裁判所では、第一審、第二審の判断は妥当であると考えられず、再び審理をつくすよう高松高等裁判所に審理の差し戻しを言い渡しました(平成18年3月13日 第二小法廷判決 平成17年(受)第76号 損害賠償請求事件)。これにより、落雷による事故を未然に防ぐために、指導者にも落雷に関する知識や対処法が必要と考えられるようになってきます。
  今回の裁判でのポイントは、落雷の際に、指導者及び大会主催者の安全配慮義務はどの程度あるのか?です。天災での事故や怪我に関しては、人の力では防ぎようのない場合も当然ありますが、天災で防ぎ切れないからといって何もしなければ、指導者としての「安全配慮義務」を怠っていると考えられます。最悪のケースにならないためにも、指導者はあらゆることに注意を払わなければなりません。それが指導者の「安全配慮義務」といわれるものです。では具体的にどのような安全配慮義務が必要と考えられるでしょうか?
  まず、天気についての知識が必要になるでしょう。台風・落雷等のメカニズム・対処法などについても、今後指導者には必要になると考えます。次に、当日の天気予報も気にしなければなりません。当日の天気予報を頭に入れておくだけでも迅速な対応ができると考えられます。また、携帯ラジオなどを常備し、天気予報を何時でも確認できる準備も必要かもしれません。これは熱中症などの予防にも役立つと考えられます。
  そして最後に、「勇気ある中止の決断」をすることです。子どもたちにとっても、スポーツをする時間はとても有意義な時間ですが、だからといって台風や雷雲が近づいているのに指導を続行することはとても危険です。年1回のスポーツイベントでは、数ヶ月前から準備したり関係者の事情もあったりするでしょう。だからといって悪天候でも決行することは当然危険が伴います。人の生死は、様々な事情にも勝ると考えなければなりません。
  スケジュールに関しても、振替の開催日などを設けるといった余裕のあるスケジュールをたてましょう。スケジュールがないからといって悪天候でも決行するということは本末転倒です。万一の中止の際に備えて、イベント保険などの活用も検討しましょう。そして事故や怪我のないスポーツ環境にしていきましょう。          
(行政書士  谷塚  哲)