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総合型地域スポーツクラブに関するお知らせ

総合型クラブ2006/01/20

メルマガ(第04号)連携ニュース「総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント(その3)」

※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第04号」と連携した内容となっております。
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総合型クラブ設立・運営のリスクマネジメント  その3(クラブの免責条項)

Q;クラブの免責条項は、法律的にはどのくらい効果があるのですか?
  スポーツクラブが会則や参加申込書を作成する場合、「クラブ内で起こった事故に関して当クラブは一切責任を負いません」などのクラブの免責条項をよく見かけます。  しかしこの条項があっても、実際の状況次第でクラブは事故の責任を負う可能性は十分あります。
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  クラブやスポーツイベントの会場で、会員や参加者が起こした事故や怪我についての責任は本人の責任となるのが一般的な考え方のようです。運動中のルールにもとづく上での事故や怪我はその運動に参加する人たちの「スポーツに内在する危険」を承諾したものとして考えられるので、基本的には事故や怪我をさせても責任は負わないことになっています。ですが運動中の事故や怪我はそれだけではありません。いろいろなところに事故や怪我の危険性が隠れています。
  そのためにもクラブの会則や申込書などに「当クラブ内で起きた事故に関してクラブは一切の責任を負いません」という条項を入れ会員にサインをしてもらい、始めからクラブの責任を免除している文章をよく見かけます。では、このような条項さえ記載しサインをもらえば、果たして事故や怪我に対するクラブの責任は本当に免除されるのでしょうか?

  答えはNOです。包括・一方的な権利の放棄は無効とされています。これは公序良俗に違反することになり、反すればそもそも契約自体が無効となります。これは民法で定められています。「責任は一切負いません」との文言は過去の判例からも無効と考えられています。平成12年に制定された消費者契約法では、第8条で事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効を定めています。すべての免責事項が無効となるわけではありませんし事故の状況により判断は変わりますが、人体や生命にかかわる事故・怪我について一切の責任を負わないとの条項は無効と判断されるでしょう。
  また、施設の設置管理者の場合も、施設の設置・管理の欠陥により事故が起こればその責任が問われます。民間施設の場合は民法717条「工作物責任」、公営施設の場合は国家賠償法2条1項「営造物責任」を法律の根拠として、施設の設置管理者に事故の責任が生じてきます。この場合、事故が起こった施設の設置・管理の「利用状況がどうであったか?」「構造上の危険性があったかどうか?」「安全対策は万全だったか?」「どんな安全対策を講じてきたか?」などが争点となります。

  あまりにも事故や怪我を意識しすぎるのもよくありませんが、まず、クラブ運営者としては最大限の安全配慮義務を果たし、施設の設置管理者としてはスポーツ施設に欠陥がないか十分に確認して、クラブ運営やスポーツ指導などに励んでほしいと思います。
  「クラブ内で起きた事故に関しては当クラブでは一切責任を負いません」との文言や張り紙は、法律的な責任の所在を決めるものではありません。あくまでも会員や利用者に対して事故や怪我に気をつけてもらうための注意付けの意味で使用することをお薦めします。
(行政書士  谷塚  哲)