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2009/02/20
メルマガ(第40号)連携ニュース メルマガ12月号 <特集> 「競技力」でクラブの魅力アップ NPO法人三重花菖蒲スポーツクラブ
※本ニュースは本日配信の「総合型地域スポーツクラブ公式メールマガジン第40号」と連携した内容となっております。 メールマガジン配信希望の方は、下記関連リンク「メルマガ登録ページ」より登録いただけます。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ■(1)NPO法人三重花菖蒲スポーツクラブ ~選手の「1社1人雇用制」から地域に拡がる ●クラブの成り立ち・特徴 ~企業の撤退に左右されないクラブをつくる NPO法人三重花菖蒲スポーツクラブは、女子ハンドボール日本リーグに参戦する「三重バイオレットアイリ ス」を抱え、平成14年6月に設立したクラブである。同年10月には、総合型地域スポーツクラブをめざして、 「ハンドボールクラブ」から「スポーツクラブ」に名称変更した。会員数は、ファンを中心に約600人いる。 クラブができた背景には、企業スポーツの撤退が色濃くある。ハンドボールのトップチームは、いわゆる 実業団中心に展開されていたが、平成10年以降、男女ともチームの解散が続いていた。また、学校でハンド ボールに取り組んだ選手から「卒業後、ハンドボールを続けてできない」という声が多くあがっていた。 そこで、ハンドボール関係者の有志が立ちあがった。企業1社が単独で所有するチームではなく、トップ レベルのチームを、地域の多くの企業、行政、住民が支えるクラブづくりを目標に創設された。選手は、実 業団選手OBを中心に呼びかけ、全国から三重県に集まってきた。 トップをめざす1種目のチームから総合型クラブへ転換したのは、三重県の「トップクラブチーム活動支援 事業」を3年間(平成15~17年度)受けたことが大きい。この支援事業は、地域に根ざしたクラブチームを 目指す活動を支援するものであった。 クラブの設立当初は、「クラブができても維持していけるか」という心配があった。協力依頼に行った企 業の不安もそこにあった。トップチームの維持にお金がかかることは言うまでもないからだ。 ●地域とのつながり・拡がり ~企業の理解を通して地域の応援を得ていく しかし、お金のこと以外は、企業の反応は悪くなかった。人とのつながりを通して面会し、ゆっくり話を することで、地域振興や子どもたちの夢としてスポーツの必要性は理解してもらえた。あとは、トップチー ムの維持費や日本リーグ参戦に実際いくらかかるか、きちんと計画をたてて数字を出して見せることで、企 業に納得してもらった。 運営スタッフは定年を迎えたボランティアが中心で、企業との交渉や関係づくりを担当するのは、ゼネラル マネジャー(GM)を務める清長さんだ。清長さんも、もともと企業側の担当者だったが、定年を機にGMの 就任を受けた。ハンドボールは全く知らなかったが、地域の企業のことは周知しており人脈を使って支援を仰 いでいる。 企業がこのクラブを支援する方法には、2種類ある。選手を1人ずつ雇用する『選手雇用企業』と、資金援 助の『協賛企業・団体』である。平成20年度、『選手雇用企業』は17社、『協賛企業・団体』は34社(前者と の重複あり)ある。企業は、自動車メーカーのホンダ関連の企業をはじめ、サービス業、農協、病院など地元 の様々な業種で構成されている。 クラブの会員は、選手を支えるファンとして、選手の職場の人やその家族がほとんどである。企業にトップ レベルで活躍するスポーツ選手がいるのは、職場の活性化にもなると企業側も認めている。選手を応援するこ とはチームを応援することにもつながる。選手は、午前8時から午後5時までしっかり働き、そのあと練習に 励む。残業ができない分、集中して仕事に取り組むことで、職場の信頼や支援を得ている。 ●競技力と生涯スポーツとのつながり ~子どもへの指導や選手とのふれあい OBや選手が中心になって、県内外の小中学生を対象にスポーツ教室やスポーツフェスティバルを開催して いる。毎年、合計数百人の小中学生が参加している。 また、テニスとフットサルで、クラブ名称を冠した「スポーツクラブ杯」を行っている。会員以外の住民参 加も多く、これをきっかけに会員になってもらうことを期待しているが、目立った成果はこれからというとこ ろ。 これまで、日本リーグ加入や日本一になることだけをめざしてきたが、まず市民に愛されるチームであるこ と、そこから生まれる支援体制があって競技力が向上することをクラブも感じている。年に1度、「ファン感 謝の集い」として現役選手とファンが一緒にバーベキューをしたりしているが、もっと選手と地域が触れ合う 機会をつくろうと考えている。 ハンドボールは日本ではマイナーな印象があるが、世界の競技人口は400万人を超える。国際ハンドボール 連盟に加盟している国は100カ国を超えるなど、世界的にはメジャーなスポーツで、バスケットボールやサッ カーと同様のスピードと迫力があり、見ごたえのある競技である。 ひとたびハンドボールの試合を観戦すれば、身体をはってがんばっている選手の姿に元気をもらえるだけで なく、「ハンドボールに触ってみたい」という気持ちを起こさせる魅力がある。選手を応援するかたわら、地 域で楽しむタイプのチームが増える可能性はある。 ハーフタイムには、地元チアダンスチームの少女たちの、可愛らしく華麗な演技や地域のよさこい踊りなど、 多くの人が集まるトップチームの試合は、表現系スポーツ活動の発表の場として活用され、喜ばれている。 ●今後の展開・課題 ~地域とのコミュニケーションをより多くとる GMの清長さんは、「選手には、『社会人であることが先にあり、勤めているからハンドボールができている。 実業団とはそこが違う』と日ごろから伝えている」という。選手たちは、会報紙などで各自の勤務先を紹介し、 企業の広報活動に一役かっている。応援してくれる地域の人、スタッフ、メンバーなどみんなに感謝し、信頼関 係を何より大切にして、地域に愛されるチーム、参加したくなる地域に根差したクラブになることをめざしてい る。 トップの選手になれるのはごくわずか、そのトップ選手同士で戦えば、なかなか勝てないこともある。勝って も負けても応援したくなるには、感謝や信頼関係とともに、選手やスタッフの「顔がみえる」こと、そして、喜 びも苦しみも共に分かち合い、一緒に成長していけるような関係づくりが大事になるだろう。 そのためには、地域とのコミュニケーションをより多くとることが課題になる。たとえば、市民マラソン大会で のボランティアや地域のお祭りでパフォーマンスなど、いろいろな場に選手を引っ張り出していく。 「選手はクラブの財産であり、活用して『体力のある』クラブにしていきたい。また、1つのチームに限らず、 男女問わず、ハンドボール自体を地域に普及していきたい」とGMの清長さんは静かに熱く語る。今後、イベン トや広報活動など、できることからどんどん取り組んでいく予定である。 (協力:清長 鐘治 NPO法人三重花菖蒲スポーツクラブ/三重バイオレットアイリス運営部代表理事)
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