スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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57 (2)関係者への必要な情報の伝達 必要な連絡先は、クラブ関係者(クラブの代表、クラブマネジャーなど)、ケガをした参加者の保護者や親族、指導者、クラブのメンバーとなります。事故発生時、まずはクラブ関係者やケガをした参加者の保護者に連絡しましょう。 (3)被害拡大の防止 ケガの原因が施設用具の管理上の問題である場合、原因を究明したうえで再発防止策を講じるまで、当該施設用具の使用は控える必要があります。原因が究明されないまま、当該施設用具を使用した競技を再開した場合には、根本的な原因が改善されていないことから、同様の事故が再発する可能性は否定できません。 (4)広報対応 マスコミへの発表だけが広報というわけではありません。 地域や会員に対して、事故発生の事実や注意喚起などを行います。 3 リスクマネジメント対策マニュアル(付録2)の解説 (1)活動前のチェックポイント 指導者が指導を開始するにあたって確認が必要なチェック項目一覧という位置付けで活用します。 施設用具の管理、健康管理・身体能力、自然条件の3つのポイントがあります。指導者の注意義務を果たすために必要な最低限の項目です。 (2)ケガ人への対応 ケガ人が発生したときの対応を明記しています。 まずは2次被害の防止を行います。危険性の高い場所には人を近づけないようにすることです。 併せてケガ人の容態に応じて、直ちに119番をするのか、病院に搬送するのかを、最悪を想定したうえで判断します。 大量出血、意識不明、呼吸困難・停止、心臓停止、脊椎損傷、病気の発作、重度のやけど、感電、麻痺、中毒の場合には、躊躇せず119番に連絡します。 (3)応急手当 ケガ人が発生したときの、応急手当に関するものです。 日本赤十字社のホームページには、絵入りで必要な対応が具体的に書かれています。印刷してマニュアルに挟んでおくことをお勧めします。 (4)記録 事故発生時には、いつ、どこで、誰が、何をしたなど、対応の引継ぎがスムーズにいくように、また後日、対応状況を振り返るためにも、その状況を記録しておく必要があります。 1枚で対応経過を全て書くのではなく、時間ごとに、1枚1枚書くことがポイントです。時間経過ごとに対応事項は異なりま

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