スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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54 をとることがあります。優しく声をかけてスキンシップで落ち着かせる、言葉を理解できない場合は手を引いて誘導する、具体的に分かりやすく情報を伝える、絵・図・文字などを組み合わせて情報を伝えることを心掛けてください。 【事例①】 2007年8月、重度の言語・知的障がいで、てんかんの持病がある男性がプールで死亡。 2、3分、目を離したすきに、うつぶせで浮いていた。 てんかん発作を起こして動けなくなる障がいがあり、専従介護が必要なのに、注意義務を怠ったとして訴訟。 2009年1月、「結果は重大だが人員不足などで無理を重ねた結果、監視態勢の不備を招いた側面もある」として指導者は禁固1年、執行猶予4年の有罪判決。 2010年2月に被告(施設、元職員など)と3,000万円の損害賠償を支払うことで和解。 【事例②】 2010年5月、県障がい者スポーツ大会で応援に来ていた知的障がいの女性が、会場から1キロ離れた近くのため池で死亡。死因は水死。 同僚と応援に来ていたが、気付いたときには行方が分からなかった。 これまでも女性は一人で出歩くことがあったという。 【事例③】 2011年3月、市障がい者スポーツセンターで、温水プールの底に知的障がいのある男性が沈んでいるのを監視員が発見。6時間後に死亡した。 プールは知的障がい者向け。3人の監視員が15分交代で見守っていた。監視員の1人が人数を確認したとき、男性がいないことに気付いた。

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