スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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50 この場合には警察への通報もやむを得ません。 ⑥救護 救護には、選手や来場者への対応があります。 まずは会場内には救急箱やAEDを用意します。そのうえで、近隣の病院を把握しておきましょう。休日のイベントや大会の場合には休日の当番医も把握しておきましょう。会場の市町村のホームページ等で確認することができます。また会場には看護師など医療関係者に待機して頂くことも必要です。応急処置などへの迅速な対応が可能になります。 事故発生時、医療関係者がいた場合には判断を仰ぐこと、いない場合には最悪を想定したうえで、重大な症状が想定される場合には躊躇せず119番をしましょう。重大な症状が想定されない場合にも、迅速な応急処理を行うとともに、症状が悪化した場合にはすぐに119番をしましょう。 応急処置を行うときは、感染症になる恐れもあるので血液などには安易に触れないようにしましょう。 【事例】 2009年3月22日(東京マラソン)、タレントのMさんが走行中に倒れて意識不明となったが、AED(自動体外式除細動器)によって一命を取り留めた。 Mさんはスタートから2時間経過後、15km付近で立ち止まり、口から泡を吹いて、崩れるように倒れて意識不明となった。心拍、呼吸ともに停止していた。 ただちに救護隊が駆けつけ、AEDの使用によって心拍が戻った。 ⑦清掃 清掃には、会場内で発生するゴミの収集、運搬があります。 スタッフはケガに注意するよう、素手で作業しないようにしなければなりません。針などの危険物がゴミの中にあるかもしれないためです。 ⑧緊急時の対応 地震、火災、事故・事件発生など、危機発生時の対応を考えておくことも必要です。ポイントは2次被害の防止や被害拡大の防止です。 イベントや大会の中止の判断基準を明確化しておき、責任者が迅速な判断を行えるようにすること、その判断がスタッフ全員に迅速に伝わるような体制にしておくことが必要です。 ・ 病院の把握、AEDや救急箱の用意、看護師などの待機が必要 ・ 血液などには安易に触らないこと ・ ゴミの収集は素手で行わないこと ・ 地震、火災、事故・事件など、危機発生時の対応を考えておくこと ・ イベントや大会の中止の判断基準、避難誘導方法の検討をしておくこと

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