スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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49 どがあります。 注意しなければならないことは、間違えないことです。チームや選手が失格になる恐れがあります。スタッフはもちろんのこと、参加チームや選手にも確認を求めましょう。また登録選手(参加者)の情報など名簿の管理にも注意しましょう。 ③案内 案内には、選手や選手の家族、来場者への対応があります。 まずはスタッフの役割分担を行うとともに、専任の案内役を配置することをお勧めします。持ち場を離れないようにすることが重要です。 またスタッフには、会場や会場周辺の把握(特に駐車場や駐輪場、会場付近のバスの状況、トイレ、自動販売機、コンビニ等の店舗)、競技の進行などを把握させることも必要です。 ④大会の運営 円滑な進行が行えるよう選手の会場への適切な誘導と、選手が競技に集中できるよう来場者を整理することが必要です。 スタッフは大会の進行を把握すること、早めの選手誘導を行うことでイベントや大会の円滑な運営を行います。 なお、スケジュールの前倒しは避けるようにしましょう。選手は自分の競技開始時間を前提にした行動をとっているためです。 一方、選手が競技に集中できるよう、特に撮影ポイントについては、来場者の適格な誘導は欠かせません。選手への妨げになるほか、来場者同士のトラブルにも繋がるためです。 【事例】 2010年1月3日(箱根駅伝)、6区のC大学の選手が、8キロ付近のカーブを曲がろうとしたところ、車道に出ていた観客をよけようと転倒、ひじ、ひざを打撲した。 ⑤クレーム対応 イベントや大会運営に対するクレーム、来場者同士のトラブルは、少なからず発生するものです。このためクレーム対応の基本も身につけておく必要があります。 クレーム対応の基本は反論せず、相手の言い分を聞くことです。反論するほど事態の収束が難しくなります。相手の話が終わり、冷静になったら、スタッフ側から説明することがポイントです。それでも収束できない場合には、人を変える、場所を変えることです。また一人で抱え込むのではなく、状況が厳しい場合には複数で対応することも必要です。 説明するにあたっては、出来ること、出来ないことを明確化することが必要です。また出来ない場合には、対案を提示すると良いでしょう。 これでも収束しない場合、例えば法令等に反する、自説を曲げない等の場合には不当要求となります。暴力行為、脅迫行為、誹謗中傷、運営の妨害などが該当します。・ 役割分担を行い、スタッフは会場内、競技の進行を把握すること ・ 選手の会場への適切な誘導、来場者と選手を分離すること ・ クレーム対応の基本は反論せず、相手の言い分を聞くこと

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