スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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48 7 イベント・大会運営時の対応 イベントや大会は、日常的に行っていないことを、日常的に関わっていないスタッフと共同で運営するため、情報共有や意思疎通、事故の対策が十分に出来ていないことが多く、予期せぬ事故が多く発生するのが特徴です。 運営にあたってどのようなリスクがあるのか、十分に洗い出したうえで、対応することが必要です。 (1)運営におけるリスクマネジメントのポイント リスクの洗い出しには、設営、受付、案内、大会の運営、クレーム対応、救護、清掃など、実施項目ごとにリスクを洗い出し、重要リスクへの対応方法を考えておく必要があります。これらの重要リスクについて、事故が発生しないようにするため、どのような対応方法が必要なのかを検討して対応するとともに、事故発生時に迅速に対応するための行動手順を策定しておくことが求められます。 リスクへの対応方法を検討したら、それをイベントや大会の運営スタッフに徹底しなければ意味がありません。役割分担も重要です。 また、事故発生時の損害賠償や治療費の支払いに備えて、保険をかけることも忘れないようにしましょう。 賠償責任保険とは、借りていた会場のガラスを割ってしまうなど、生じた損害を補償するための保険です。傷害保険は、参加者がケガをした場合、通院1日あたり、または入院1日あたり、決められた金額が支払われる保険です。 (2)実施項目ごとの対応 実施項目ごとの対応は次のとおりです。 ①設営 設営には、テント、コート整備、のぼり・イス・机、資料等の会場関係資機材のほか、スポーツ用品やユニフォームなど競技実施のための用具の準備があります。 注意しなければならないことは、スタッフが決められた役割に従って、決められた手順をこなすことが求められます。「まぁ、いいか」という準備を行った場合、例えばコート整備の不備などは思わぬケガに繋がります。 また、テントやイス、机が風で飛ばされないよう、固定することを忘れないようにすることが必要です。特にテントが風で飛ばされてケガ人が出たという事例がよく見られます。 ②受付 受付には、選手登録、ゼッケンの配布な・ 会場の確認、事前の事前準備と役割分担、病院の確認を行い、保険(賠償責任保険、傷害保険)をかけてください。 ・ 風で飛ばされないよう、テントなどはしっかり固定すること ・ 受付を間違えないこと、個人情報の管理を徹底すること

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