スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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41 2 人・組織のリスクへの対応 人に関するリスクはハラスメントを含む暴力問題、横領など、組織に関するリスクは指導者の退任や引抜きなど、円滑なクラブ運営を損なうリスクです。 会員、スタッフについて、クラブ内・クラブ外の双方について考える必要があります。人はクラブの資産であり、クラブ運営の基本になるものです。会員の増減に大きく影響しますので、対処しなければならない重要なリスクの1つです。 「スポーツ指導と暴力問題」「横領などの不祥事」「指導者の退任や引抜き」が特に重要なリスクです。その他、以下のリスクがないか、注意しましょう。 (1)スポーツ指導と暴⼒問題 2013年4月のJOC(日本オリンピック委員会)の調査によると、暴力行為を含むハラスメントを指導者から受けたことがあると回答した選手は全体の11.5%であったことが判明しました。 指導における暴力行為は選手の技術向上には繋がらず、指導者に対する反発の気持ちしか残りません。また暴力行為を受けた選手は心に傷を負うことにもなります。 2013年4月25日に日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本障がい者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟により「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」が採択されました。 また、2013年7月に日本体育協会が「スポーツ指導者のための倫理ガイドライン」を策定するなど、スポーツ界において暴力行為を根絶する様々な取り組みがなされています。 主なリスクは、暴力問題、横領などの不祥事、指導者の退任や引抜き 人に関するリスク ・スポーツ指導と暴力問題(ハラスメントを含む) ・横領などの不祥事 ・管理者、指導者の活動内容に関する意見の相違 ・指導者と会員の指導内容に関する意見の相違 ・雇用差別 ・労働災害 組織に関するリスク ・指導者不足 ・指導者の引抜き

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