スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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29 1 施設用具の管理(施設・用具の整備、配置) (1)施設・用具の整備 チェックポイントは、①破損、危険な突起物の有無の確認、②倒れる危険性のあるものの固定、③緩み、腐食、水漏れの確認の3点です。 ①破損、危険な突起物の有無の確認 体育館での活動に注意が必要なケースです。ステージの角や壁際には木のささくれや釘が出ていないか、または体育館の床板がめくれていないかの確認が必要です。 不意に手を突いたり、壁によりかかったりした場合、木のささくれが手に刺さるケースもよくあります。また体育館の床板がめくれていたため、スライディングで床板が腹部に刺さったという事故もありました。 ②倒れる危険性のあるものの固定 サッカーゴールやテニスの審判台など、倒れる危険性のあるものについては、定められた方法を全て満たすように固定して使用することが必要です。当然のことながら、休憩中に会員がサッカーゴールにぶら下がるなど、本来の用途以外の使用はさせないよう、指導者には注意を払うことも求められます。 子どもが固定していなかったサッカーゴールにぶら下がったため、倒れて下敷きになったという事故がありました。テニスの審判台についても子どもが遊んで下敷きになるという事故がありました。 ③緩み、腐⾷、⽔漏れの確認 体育館での活動に注意が必要なケースです。体育館の床板が腐食している、または配管から水が漏れ床板が濡れた状態で活動すると、転倒したり滑ったりしてケガをする可能性があります。 バレーの試合中、床を拭く場面が多く見られるのは、床濡れによる事故防止のためです。 【事例】 2008年3月、当時高校生だったAさんは、B町が管理する体育館でバスケットボールを練習中、床の上の水滴で滑って転倒。股関節脱臼で約1カ月入院。 現場上部の蒸気式暖房配管に亀裂があり、冷えた蒸気が水滴となって床にしたたっていることが原因。 B町は、全面的に責任を認め、Aさんに治療費や慰謝料など約61万円を支払う意向を固める。 体育館は1974年に建設。2002年と2003年、配管の別の場所でも水漏れが見つかって修理した経緯があり、B町は自らの安全管理に問題があったと判断した。 (2)施設・用具の準備、配置 チェックポイントは、①活動人数の考慮、②施設、用具の安全な準備、配置(安全を確保した用具の準備、安全な導線の確保)、③良好な環境の確保(照明、換気など)、の3点です。 ・ 施設、用具が壊れていないかなどを確認する ・ 施設、用具の安全な準備、配置を心がける

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