スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
12/112

8 第1章 スポーツリスクマネジメントの考え方と導入の必要性 1996年8月、サッカーの試合中に当時の高校生が落雷によって重体となりました。この事故における裁判では、「平均的なスポーツ指導者ならば、黒く固まった雷雲が立ち込め、雷鳴が聞こえ、雲の間で放電が起きるのが目撃されていたら、落雷の危険性が迫っていると予見することは可能」が指摘されました。 また2014年8月にも落雷事故が発生しました。野球の練習試合中のことです。落雷当時、晴れ間が見えていたとのことでしたが、事故発生時、雷注意報が出ていたといい、このことを関係者は知らなかったといいます。 空の状況や雷注意報に注意していたら事故を防げたかもしれません。このような事故を繰り返さないためにも、スポーツ関係者は事故の発生形態を熟知して事故発生の予防に努めるとともに、被害を最小限にするために事故発生時の対応を身につけることが求められるようになってきました。これがスポーツリスクマネジメントです。 総合型地域スポーツクラブに関わるクラブマネジャー、監督、指導者など、全ての関係者にとって必要な知識です。 本章のポイント 重大な事故を減らすためのスポーツリスクマネジメント実践のポイント 事故事例を出来るだけ多く知る 「まぁ、いいか」をなくす 事故発生時には最悪を想定した行動をとる 治療費や慰謝料の支払いに備えて保険をかける

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です