スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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98 (5)野球、ソフトボール③ リスク発生の経緯 ソフトボールの活動中、打者のファウルボールが会場横道路に駐車していた車のドアに当たった。 クラブの対応状況 車の所有者(クラブ関係者外)からクレームがあり、口論になった。 講師からポイント 打球を打った人が基本的には賠償するが、施設管理者(例:ネットが低すぎる)、クラブ(打者として打たせたことが妥当かどうか)、車の所有者(打球がくる可能性は想定できなかったのか)にも責任の分担が生じる可能性がある。賠償保険に加入しておけば、保険会社からの支払でこの問題を収束させることができる。 (6)野球、ソフトボール④ リスク発生の経緯 少年野球で、目にボールが当たり、指導者が病院を勧めたものの、保護者と本人に症状の自覚がなかったため、受診が遅れた。 クラブの対応状況 傷害保険で対応した。 講師からポイント クラブとしては速やかに受診させることが望ましい。目が最悪の状況になった場合、保護者が断ったという証拠がない限り、保護者からのクレームに対応できない恐れもある。 (7)バドミントン① リスク発生の経緯 60代男性がバドミントンの活動中(8月)目眩を起こし、自ら休憩場所に移動中に5段程の階段で転倒し、顔にケガをした。119番通報し、病院へ搬送(自力で上り下りできるところまで回復)。クラブ関係者及び家族の方も同行し、落ち着いてから自宅まで同行した。 クラブの対応状況 後日、本人に確認すると体力に自信があったため、油断していたとのこと。今後は、適度な休憩、休息を取るよう指導する。 講師からのポイント 対応は適切。但し指導者は受講者の健康状態を常に把握、管理する必要がある。 (8)バドミントン② リスク発生の経緯 バドミントンの審判台から中学生(女子)が転倒。高さ調整ピンがきちんと設置されていなかったためであった。 クラブの対応状況 救急搬送し、会場責任者へ事故の報告。保護者への連絡を行った。 講師からのポイント 事故発生後の対応は適切。しかし事前に安全確認(ピンの設置を確認)していなかった現場の指導者、会場責任者に賠償責任が生じることとなる。

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