スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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97 (2)サッカー② リスク発生の経緯 少年サッカー練習時間帯の休憩中に会員同士(AとB)で喧嘩となり、Bが軽いケガをした。その後Bの保護者がAの保護者に注意するように申し出を行い、クラブに連絡があった。 クラブの対応状況 クラブでは、指導者に事実確認を行い、今後指導に当たり注意するよう要請するとともに、両保護者へ、クラブの対応につき報告し、各家庭でも喧嘩しないよう指導をお願いし、了解を得た。 講師からポイント あくまで子ども同士の喧嘩であるため、ケガさせたほうの責任となる。この事例の場合、クラブや指導者が責任を問われることはない。但し、常に喧嘩をする子どもたちである、性格的に合わない等、喧嘩によって大きなケガが想定できる場合は、その限りではない。 (3)野球、ソフトボール① リスク発生の経緯 クラブに参加していた中学生が、クラブ活動中に野球ボールで体育館内の壁を破ってしまった。 クラブの対応状況 後日その状況に気づいて学校に連絡し、先生に連絡したが、それ以上の対応はしていない。 講師からポイント 借用施設を破損した場合、速やかに施設管理者に連絡し、修理代金を支払うことが望ましい。 (4)野球、ソフトボール② リスク発生の経緯 少年野球の練習中、その前にグラウンドを使用していた団体がフェンスをそのままにしていたため、風でフェンスが倒れ、児童がケガをした。その際、転倒防止のくいがさされていなかった。グラウンドを利用していた前の団体が、勝手にフェンスを使っていたが、そのことについて少年野球をしていた団体は知らなかった。 クラブの対応状況 自由に使えるようになっていたことが悪いということで、フェンスの使用を禁止とした。 講師からポイント 前の団体が放置していたとはいえ、少年野球の(現場)責任者が危険な状態を放置したという面で(注意義務を怠った)責任を問われる可能性が高い。活動前の安全面については、事前確認を行う必要がある。 また、このフェンスについて、常設のものであれば、自由に動かせるような状態にしていた施設側にも何らかの責任を求められる可能性もある。

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