スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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96 付録3 リスクマネジメントマニュアルの活用例 付録3は、熊本県総合型地域スポーツクラブ連絡協議会で作成、使用されている付録2をベースにしたリスクマネジメントマニュアルの活用例です。 リスクマネジメント研修で出された意見を集約して、講師のコメントを追記したうえで、各クラブに配布しました。 ------------------------------------------------------ 1.リスク事例(リスク発生の経緯、対応状況) (1)サッカー① リスク発生の経緯 キッズサッカーの練習時、練習後半ゲーム中ドリブルをしていたAに対し、Bがやや後ろからタックルした。その際Aは転倒し、ファールの判定でゲーム再開(Aも続行)。 帰宅後、足の痛みを訴え、翌日病院で足首の骨折と診断。後日連絡を受け、見舞に行った。Aの保護者はBが普段より荒いプレーだったのではないかと意見。 しかし、そのとき審判をしていたコーチは、やや後ろからのタックルはありがちであり、特に危険ではないと判断。骨折後しばらく入院となり、通学も保護者の送迎が必要となった。AとBの保護者は顔見知りであったが、Bの親から謝罪の言葉がないとのことでAの保護者は不満を持っていた。 クラブの対応状況 クラブとしては、当日は特にケガの状況がひどいように思えなかったため、保護者に連絡をしなかったが、もう少し注意深く子どもを観察する必要があった。また、双方の保護者に連絡すべきだった。 講師からポイント この事例の場合、コーチの賠償責任の面から考えると、あくまでプレー中のことであるため、「特に危険ではなかった」と判断したコーチに賠償責任が問われる可能性は低いと考える。しかし、年齢が低くなればなるほど、指導者はより細心の注意と配慮をする必要があるため、ケガの判断をその場でできなかったとしても、保護者に対しては状況を報告しておくことは必要である。

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