お知らせ2013/02/25

スポーツ指導者のみなさんへ(張会長メッセージ)

スポーツ指導者のみなさんへ


  日本体育協会の会長を仰せつかって2 年、日々、アスリートのすばらしさを実感しています。国体開会
式で参加者が「君が代」や「若い力」を大きな声で歌う姿をみると、本当に清々しい気持ちになります。
それだけに、今回、スポーツ指導の現場での体罰が相次いで明るみに出ていることは、残念でなりませ
ん。スポーツ宣言日本に「スポーツは、その基本的な価値を、自己の尊厳を相手の尊重に委ねるフェアプ
レーに負う」との言葉があるとおり、スポーツは、互いにルールを守り、絶対に暴力に頼らないという相
互尊敬のもとにのみ存在しうるものだと思います。スポーツ基本法にある「スポーツを通じて幸福で豊か
な生活を営むことは、全ての人々の権利」という理念の前には、暴力は徹底的に排除されなければなりま
せん。
  あくしゅ、あいさつ、ありがとう。日本体育協会ではいま、「フェアプレイで日本を元気に」キャンペ
ーンを展開しています。スポーツ選手には、元気や礼儀だけではなく、勝者・敗者や先輩・後輩を問わな
い他者へのリスペクトや、目標に向かう粘り強さや打たれ強さ、チームワークなど、多くの点で社会人と
して高く評価される資質があると思います。それを支えているのが、優れた指導者のもとでの長く苦しい
練習、そして勝利と敗北とを通じて形成されるフェアプレー精神であると考えます。
スポーツを指導することの目的は何でしょうか。技能の向上だけではなく、人格の向上、涵養も大切と
思います。私は日本体育協会の会長として、指導者資格を認定する立場にあります。その立場からも、指
導者のみなさんには、スポーツに親しむすべての人たちにフェアプレー精神を広げてほしいと思っていま
す。
  もちろん、スポーツに親しむ人と一口に言っても、いろいろな人がいます。素質のある人やそうでない
人、スポーツに打ち込める環境にある人やそうでない人、性格や嗜好もさまざまだろうと思います。人を
育てるというのは、こうした多様な事情、背景を理解して、それをきちんと尊重しながら対応することだ
と思いますし、ほとんどの指導者は、それを励行しておられるものと思います。今回明るみに出た体罰は、
ごく一部の限られた例外であると信じます。しかし、その一部の例外も、決して許されるものではないと
も思います。
  私自身、今の自分があるのは、かつて私を鍛えてくれた剣道の師たちのおかげであると思います。手取
り足取り、ぶつかりながら教えてくれたスポーツの師のことは忘れられません。まさに一生の師であると
思います。競技は違っても、同じように感じている人も多いでしょう。
幸いにも私は仕事においてもよき上司に恵まれ、それは厳しく、怖い上司でしたが、しかしスポーツで
も仕事でも、一度も暴力を受けたことはありません。「若い力」の歌詞には「情け身にしむ熱こそ命」と
あります。他者を尊重する思いやりこそがスポーツの命と申せましょう。
  孟子は「君子に三楽あり」として、その一つに「天下の英才を得て、之を教育する」ことをあげました。
  指導者のみなさんには、指導を通じて相手の人生をより豊かなものとするお手伝いができること、そして
時には相手の人生に大きな影響を与える立場でもあることに深く感謝しながら、指導に励んでいただきた
いと心からお願いしたいと思います。


平成25 年2 月25 日
公益財団法人日本体育協会
会長 張富士夫

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