スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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56 第5章 事故発⽣時の基本対応 事故発生時に必要な対応は、ケガ人への対応とクラブとしての対応の2つです。これらの対応が迅速に、対応の抜け漏れがないよう、クラブ独自のリスクマネジメント対策マニュアルを作成することも必要です。 1 ケガ人への応急手当 ケガ人の応急手当について、まずは最悪を想定することです。そのうえで、容態によって直ちに119番するか、しないかを判断します。1点だけ、止血するときは、感染症等の危険性があるため素手で血液に触らないよう注意しましょう。 大出血、意識なし、呼吸困難、心臓停止、脊椎損傷、病気の発作、重度のやけど、感電、麻痺、中毒の場合には、迷わず119番する必要があります。救急車がくるまで、AEDや応急手当を行います。 それ以外の場合、顔色や唇、皮膚の色のほか、意識、呼吸、出血、腫れや変形、嘔吐、手足を動かせるか等の確認を行い、応急手当を行ったうえで、クラブ関係者が付き添ったうえで、病院に搬送します。なお体を動かせない場合には119番します。 2 クラブとしての対応 対応担当者を決め、クラブとして責任をもって対応することがポイントです。そのうえで、情報の収集(いつ、どこで、誰が、何を、どうした)、関係者に必要な情報を伝え(ケガ人の保護者や家族、クラブ代表など)、被害拡大の防止を行い(事故発生場所の使用禁止、必要に応じてケガが発生した種目の当面の活動停止など)、地域や会員への連絡(事故発生の事実、注意喚起など)を行います。 (1)情報の収集 事故が発生した場合、状況を把握することから始めます。正確な情報がなければ、正しい対応を取ることができません。 本章のポイント 事故発生時の基本対応とは、 ケガ人への対応:二次被害や被害拡大の防止への対応を行う クラブとしての対応:クラブの責任者、保護者や家族に連絡する

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