スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―
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45 納が多い、会費の納入が遅れがちである会員も少なくありません。このような場合、クラブの資金繰りに支障を及ぼす可能性もあります。 会費の徴収がルーズになると、他の会員に悪影響が広がる恐れもあります。クラブとして、毅然とした態度を示すこともクラブを守る意味で重要です。 6 指定管理者としての対応 スポーツ施設を指定管理者として運営、管理している法人も多く見られます。この場合、施設利用者がケガをしないよう、定期的な施設の安全点検が必要です。点検個所は(1)~(7)です。 施設の瑕疵かし、または施設の管理上の瑕疵かしで施設利用者がケガをした場合、民事責任といわれる治療費や慰謝料支払いなど、損害賠償金の支払いが必要なケースが多く見られます。更にはケガによって死亡または後遺障がいが残るなど重大な結果となった場合には、刑事責任を問われるケースがあります。 指定管理者としての責任の範囲は施設の敷地内全てに及びます。施設の運営、管理の責任者は安全配慮義務を負い、担当者は注意義務を負うことになります。従って事故が起きた場合には、両者にその責任が及びます。基本的には第2章の内容と同じです。 破損個所がある場合には、施設所有者に修繕の依頼を行うことになりますが、その間、誰もが分かるような状態で危険個所を明示して、近寄らせない対応を行わなければなりません。 小さな子どもの利用が多い場合、特に注意が必要です。 隙間にもぐる、小さな穴に指を入れる、高いところに登るなど、特有の行動が見られます。また頭が相対的に大きいため転倒しやすいという特徴もあります。従って面取りしていない柱や低木が危険なものとなります。 そのような危険個所があった場合には、その場所には行かせないように、または触らせないように物理的な措置を施すとともに、保護者にも危険個所を知らせて注意を促すことも必要です。 高齢者の利用が多い場合、特に段差に気を付ける必要があります。僅かな段差でも転倒する可能性があります。・ 敷地内全てに責任が及びます。 ・ 危険箇所には誰もが分かるような注意喚起(明示)が必要です。

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